トマト由来酵素「NDPS1」のリボンモデル。2つの同じ酵素(うす水色とピンク)が会合してホモ二量体を形成
住友ゴム工業は3月3日、東北大学 高橋征司准教授、金沢大学 山下哲准教授、理化学研究所 放射光科学研究センター 山本雅貴グループディレクター、竹下浩平研究員らと共同で、天然ゴムを合成する酵素と類似した構造を持つトマト由来の酵素「Cis型プレニルトランスフェラーゼ(NDPS1)」の構造解明と、機能改変に成功したと発表した。
この研究は、世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設(兵庫県佐用郡佐用町)大型放射光施設「SPring-8」を活用している。
「NDPS1」は、Cis型プレニルトランスフェラーゼファミリーに属する酵素であり、このファミリーには天然ゴム合成酵素も含まれており、構造が類似していると推察される。「NDPS1」はパラゴムノキの天然ゴム合成酵素よりも構造解析に適した性質を有することから、当研究グループは「SPring-8」を活用して研究を進めてきた。
今回、「NDPS1」の構造を解明し、生成物の長さに関わる重要部位を明らかにするとともに、この重要部位に変異導入を行うことで、生成物の高分子化と大幅な反応性の増強に成功した。この結果、自然界には存在しない化合物の生合成も可能となるとしている。
NDPS1変異体の構造モデルと特性の比較