住友理工は、カーボンニュートラル及び水素社会の実現に向けた事業活動を推し進めており、現在、各所で運用し始めている燃料電池トラック(FCトラック)用防振ゴム、ホースなどの製品開発と量産を担っている。
同社が量産しているのは、CJPT( Commercial Japan Partnership Technologies/ コマーシャルジャパンパートナーシップ テクノロジーズ )が企画している小型FCトラックに向けた製品となる。
今日、小型トラックに求められる必須条件は、各地域の物流センターなどから量販店やコンビニエンスストアに向けた物流や郵便などを担えること。地域社会を支える車両として積極的に利用されるようになること。
FCトラックイメージ
安定した冷蔵・冷凍機能を備えられること。1日で複数回に亘る配達を行えること。長時間の使用や長距離走行が可能なことなどが求められる一方で、短時間で燃料補給が可能であることも求められる。
またトラック運送にあたっては、「2030年のCO2排出原単位を、2005年度比で31%削減すること」をメイン目標に、「車両総重量8トン以下の車両について、2030年に於ける電動車の保有台数を10%とすること」がサブ目標として定められている( 公益社団法人 全日本トラック協会「トラック業界の環境ビジョン2030」 )。
そうしたなかで走行時のCO2排出がゼロであり、短時間での燃料補給が可能な水素技術を搭載できている小型トラックは、今後の物流業界に於いて有効な選択肢だと考えられている。そこで同社は、今後もFCシステムを導入した優れた商用車の開発に向けて、更なる努力を重ねていきたいと話している。
もとより住友理工グループでは、経営ビジョン「2029年 住友理工グループVision」で、実現したい未来社会像として、「自然と都市と人の空間が繋がるグリーンで快適な社会」を掲げている。これを達成させるべく、次世代モビリティへの進化に対応した製品の開発・供給を推し進めると共に、脱炭素・循環型社会・新エネルギーを柱とするグリーンな社会の実現に向けて貢献していきたい考えだ。
住友理工の主なFCトラック用製品紹介は以下の通り>
>>水素タンクマウント
水素タンクをボディー部分に固定するために取り付けられるマウント(防振ゴム)。水素タンクの安定支持の役割を担っており、タンクバルブからの振動低減に貢献できる。
乗用車と比べ、長時間使用するトラックの方が水素タンクの容量が多く、その分サイズ・重量のある水素タンクが使用されるため、振動低減と信頼性が両立するよう設計開発を行っている。
水素タンクマウント
>>水素ホース
水素タンクに充填された水素をFCスタックへ供給するホース。分子量が小さい水素に対する非常に高度なシール性要求に応えている。車両サイズが大きいトラックへ水素を供給するため、乗用車のホースよりも長尺化したことに加え、シール性能を維持できるよう設計開発を重ねた。
水素ホース
※画像は乗用車用
>>FCセル用ガスケット
セパレータと呼ばれる板状の部材や発電部材などからなるセルの構成部品のうち、水素と酸素、そして水の漏れを防ぐゴム製シール部材。FCスタックは、セル330枚が積層された構造で、これら1枚1枚に本製品が搭載されている。
また、セル用ガスケットは氷点下から100℃以上の広い温度領域に於いて高いシール性を発揮し、燃料電池車(FCEV)の長期安全性、高効率な発電性能に貢献している。