住友商事と木村鋳造所は、3Dプリンターを活用した鋳造試作部品製造事業を手掛ける木村鋳造所の米国子会社「Kimura Foundry America(以下、KFA)」に、住友商事が35パーセント出資することで合意し、契約を締結した。
自動車や建設機械、産業機械等の分野では、部品を製造するために砂型鋳造(※1)が広く用いられている。
砂型鋳造では、木や樹脂等を切削して原型を成形し、その形状を転写して固めた砂型に、溶かした鉄などを注入して製品を製造するが、この原型の製造には、特に形状が複雑な自動車エンジン部品の試作品や、型が古く製造が難しい補修部品等の場合、数週間から数か月の期間を要する。
木村鋳造所は、この原型の製造を省略するため、入力した3Dデータに基づき、薄い砂の層に樹脂を一層ずつ塗布して積層する砂型積層3Dプリンター(※2)を導入。これにより、砂型を1日で完成させることを可能とし、納期を大幅に短縮。また、一回のプロセスで数十個以上を同時成形できるという利点もあると云う。
さらに、木村鋳造所では、溶解温度が1,400度を超える鉄系材料を用いた場合でも、製品形状に悪影響を与えない砂の膨張を抑える技術を確立している。
住友商事は、長年にわたり、木村鋳造所が製造する鋳造品の海外販売を手掛けてきたが、今回のKFAへの出資を通じて、グループ内の自動車部品製造事業等とのシナジー効果のほか、構築してきた海外顧客ネットワークを活用し、建設機械、農業機械、産業機械等、幅広い分野における事業拡大を目指す。
住友商事と木村鋳造所は、米国に加えて欧州やアジア地域での展開も進め、将来的には世界の関連産業の発展に貢献していきたいとしている。
※1)砂型鋳造:砂で作った型に溶融金属を流し込み成型する鋳造法。
※2)砂型積層3Dプリンター:薄い砂の層の上に樹脂等を一層ずつ積層し、3Dデータから立体的な砂型を直接造形する3Dプリンター。最終製品を直接造形する金属積層3Dプリンターと異なり、砂型製造以降のプロセスは従来型の鋳造法が用いられるため、試作品や補修部品であっても量産時と同等レベルの品質と機能を担保できる。
[KFA概要]
– 社名:Kimura Foundry America, Inc.(KFA)
– 所在地:米国インディアナ州
– 設立:2018年11月(営業拠点としての開設は2014年)
– 出資比率:木村鋳造所:65% / 住友商事:35%
– 事業内容:砂型積層3Dプリンターによる鋳造部品の製造・販売
■木村鋳造所:https://www.kimuragrp.co.jp/