先進運転支援システム(ADAS)や、自動運転車両向けの物体認識AIソフトウェア『SVNet』を提供する韓国のストラドビジョンは5月24日、5月25日から27日に中国・広州で開催される『The China Guangzhou International Automotive Technology Expo 2021(Auto Tech)』において、SVNetの最新機能を公開すると発表した。
「Auto Tech」は、カーエレクトロニクス、コネクテッドカー、EV&HEV、自律走行技術など、自動車産業の重要なトピックを網羅した展示会で、中国の広州ポリワールドトレードセンター展示ホールで開催される。OEM、自動車研究機関、Tier1サプライヤーなど、500社を超える世界の企業が、自動車業界向けの最新技術や製品を展示する。
ストラドビジョンは、同展示会のブース#C357Aにおいて、NVIDIA Xavier SoCをベースにしたFront-Facing Camera(FFC)ソリューションのデモンストレーションを行う予定。また、業界で大きな注目を集める、サラウンド・ビュー・モニタリングや疑似Lidarなどの最新技術も紹介するとのことだ。
発表予定の内容は以下の通りとなっている。
〇ハイウェイ・ドライビング・アシスト
高速道路や自動車専用道路での自律走行(HDA。ハイウェイ・ドライビング・アシスト)において、SVNetが8メガピクセル(3840x2160)の高解像度前面カメラを用いて、より長い距離での検出精度をどのように向上させるかを説明する。
〇自動バレー・パーキングとオートパイロット
レベル3以上の自動運転機能のために必要なオートパイロットや車両が自ら駐車スペースまで運転し、呼び出されたら自ら戻ってくるAVP(Automated Valet Parking)などを最大9台のカメラで収集した画像を組み合わせて、360度全方向の物体や状況を認識するソリューションを紹介。
〇単眼カメラ対応による疑似LiDAR
FFCソリューションは、車両前方のカメラ画像を使用した物体認識技術で高価なLiDAR装置などを使わずに、単一のカメラだけで3次元の認知・深度推定を実装している。安全性を維持しながら、ハードウェアの使用率とコストの両方を下げることができ、省エネ・熱対策などの観点で高い効率性を実現する技術を紹介。
■物体認識AIソフトウェア『SVNet』とは
SVNetは、カメラ映像からディープラーニングによって検知する自動運転車両向けの物体認識AIソフトウェア。過酷な気象状況や周囲の明かりが乏しい場合でも、車両が他の車両や車線、歩行者、動物、空き地、交通標識、信号機などの対象物を正確に検出・識別することができる。また、SVMソリューションとの連携で、自動駐車支援を実現する。
SVNetは既に14種類以上のハードウェアプラットフォームに対応しており、特許技術によってネットワークパラメータサイズや必要とする演算量、メモリ使用量を少なくしながら、高い物体検出・認識精度を実現。製品特性に応じたチップ(SoC)への組み込みや、高価なセンサーをカメラに置き換えた利用が可能で、競合他社の製品と比較して、数分の一のコストでADASや量産自動車への提供できるという。
現在、ドイツ・中国市場をはじめ9社のパートナーと提携し、51種類のADASおよび自動運転向け車両に採用され、世界中で1,300万台の量産車に導入される予定。また、欧州でのレベル4自律走行バスプロジェクトをはじめ、欧州と中国で複数の生産プロジェクトに取り組んでおり、すでに中国の道路でADAS車両を展開中だ。
日本市場においては、2020年8月には大手システムオンチップ(SoC)ソリューション企業である株式会社ソシオネクストと、日本市場へのSVNetの供給を拡大するための協業契約を締結している。