STマイクロエレクトロニクス( STM )は5月24日、3軸加速度センサと3軸ジャイロセンサを搭載した車載グレード対応の「ASM330LHBG1(MEMS慣性計測モジュール/ IMU )」を発表した。同製品には、安全性を考慮したソフトウェア・ライブラリが用意されており、機能安全性が要求されるアプリケーション向けにコスト効率の高いソリューションを実現する。
ASM330LHBG1は、-40°C~125°Cの動作温度(Ta)範囲でAEC-Q100グレード1規格に準拠しているため、エンジン・ルーム付近や直射日光が当たる場所などでも使用可能。カーナビゲーションやボディ・エレクトロニクス、運転支援システム、高度な自動運転システムなどに於いて、高い精度と信頼性を提供する。
代表的な用途として、ナビゲーション・システムの高精度測位や、デジタル式ブレ補正カメラ、LiDAR、レーダー、アクティブ・サスペンション、ドア・モジュール、V2X(車車間・路車間)通信、アダプティブ・ライト、衝撃・傾斜検出機能などに適している。
STの機械学習コア( MLC )とプログラム可能なステート・マシン( FSM )を搭載するASM330LHBG1は、AIアルゴリズムをセンサ内部で動作させることにより、スマートな機能を超低消費電力で提供できる。また、より動作温度範囲が低いSTの従来製品とピン配置互換性があり、レジスタ構成も同じであるため、シームレスなアップグレードが可能。
温度補正機能を内蔵しているため、様々な動作条件下で安定性を確保することができ、6軸分の信号を同期して出力できるため、推測航法アルゴリズムの精度が向上する。更にI²C、MIPI I3C、およびSPIシリアル・インタフェース、設定可能なスマート割込み処理、3KBのFIFOを搭載し、センサ・データの管理を簡略化してホスト・プロセッサの負荷を最小限に抑えることができる。
ASM330LHBG1に用意されているソフトウェア・ライブラリは、独自に評価されて認証を取得しており、ISO 26262に準拠している。このソフトウェアと2個のASM330LHBG1を使って機能安全に準拠した冗長性を実現可能。汎用のハードウェアをベースに組み合わせたこの方法は、SEooC(Safety Element out of Context)を満足しているため、自動車安全性レベルB(ASIL-B/道路を走行する自動車の機能安全に関する規格)までのシステム認証に対応。
このライブラリが提供するソフトウェアは、センシング・モジュールの設定機能、データ取得を開始する前に動作が正常であることをチェックする機能、およびセンシング・モジュールから出力されるデータの取得を処理する機能を備え、これらの機能それぞれにエラー・コードが割り当てられていることから、異常が検出された場合に確認することができる。
同一のセンサ2個で構成されるこのソリューションは、2つの異なるセンサ・ハードウェアから得られるデータが一致しているかどうかをチェックすることで、冗長性も確保する。ASM330LHBG1は現在量産中で、14リードのプラスチック製VFLGAパッケージ(2.5 x 3mm)で提供されます。単価は1000個購入時に約9.40ドル。