半導体の安全供給は「Dare Forward 2030」の戦略達成に役立つ
欧・米に跨がる自動車市場大手のステランティスは7月18日(蘭アムステルダム時)、中期的視野で自社製造のEV並びにICE車に搭載する半導体を確保するべく、複数の半導体メーカーから来たる2030年迄の期間に於いて約100億ユーロ(15兆600億円)相当分の半導体を確保するための契約を締結した。
上記期間に於ける半導体製品を確保した理由は、現行車両のみならず、それ以降に売り出すBEVプラットフォームに於いて、半導体自体が性能・安全・顧客向け機能実装に於いて要となるため。
自動車業界の半導体需要が加速する中、ステランティスは重要なマイクロチップの長期供給を管理し確保するべく上記戦略を標榜。この戦略は部門横断的なチームによって運用され、長期計画〝ステランティス・デア・フォワード2030(Dare Forward2030)〟に定められた目標を達成する事に重点を置いて定められた。
ちなみにデア・フォワード2030とは、2030年迄に炭素排出量を21年比で半減させ、38年迄の実質ゼロ化を実現させるというもの。
この達成に向け、30年迄に75車種以上のEVを投入し、世界のEV販売台数を年500万台規模に。欧州ではBEV(乗用車)の販売比率を100%に。米国(乗用車、軽商用車)では50%に。
蓄電池の生産能力は、従来計画から140GWh引き上げて約400GWhに。具体的にはギガファクトリー5カ所とこれを補足する外部調達契約により計画達成させ、売上高(目標値3000億ユーロ)と営業利益率を2倍(目標値2桁の維持)を目指す。
調達契約はチップメーカーとの契約、部品購入、未来の可視性の組み合わ
なお半導体調達の指針に戻ると、そこでは以下の施策が内包される。
- 半導体コンテンツの完全な透明性を提供するための半導体データベースの実装。体系的なリスク評価により、レガシー部品を回避し、積極的に削除する。
- チップメーカー&シリコンファウンドリと目標値を達成させるために長期的なチップの需要を予測する。
- 将来の半導体チップの不足に備え、自社グループへ割り当てを管理できるようにするべく供給の長期契約を維持。遂行上に必要不可欠な要素や部品・素材を押さえておく。
- スモール(航続距離500km)、ミディアム(航続距離700km)、ラージ(航続距離800km)、フレーム(航続距離800km)と定めたSTLAプラットフォームを可能にするべくInfineon、NXP Semiconductors、onsemi、Qualcomm などと戦略的半導体プロバイダーとの連携を開始。更にaiMotive及び SiliconAutoと協力し、将来的には独自の差別化半導体を開発する予定。
こうした施策要素についてステランティスのマキシム・ピカット最高購買・サプライチェーン責任者は、「効果的な半導体戦略には、半導体と半導体産業に対する深い理解が必要です。というのは私たちの車には、何百という多様な半導体が搭載されているからです。
そこで我々は、たったひとつのチップが欠けたゆえに生産ラインが停止するリスクを軽減させるため、包括的なエコシステムを構築します。
同時に車両の主要な機能は、単一のデバイスの革新性を推し進めてパフォーマンスの維持に努めます。またEVの航続距離を拡張するSICパワーデバイス(SiC MOSFET)に係る顧客の体験価値と安全性確保に務めます。
それゆえ既に2030年迄に100億ユーロを超える半導体の直接契約を締結済みです。なおこの供給契約には、多様かつ重要なマイクロチップが含まれています」と話している。