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2025年2月8日【IoT】

ステランティス、ミストラルAIと戦略的パートナーシップを強化

坂上 賢治

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Stellantis(ステランティス)・ロゴ

 

ステランティス( Stellantis NV )とミストラルAI( Mistral AI SAS /本社:パリ )は2月7日(仏・パリ発)、自動車エンジニアリングから車内体験まで、複数分野に亘る人工知能( AI )の戦略的コラボレーションを深めていく構えだ。

 

今回、ステランティスと共に歩みを進めていくミストラルAIは、南フランスの強風ミストラルにちなんで名付けられ、2023年4月にGoogle DeepMindやMeta Platformsに勤務していたエンジニア達によって設立された大規模言語モデル( LLM )を専業とする人工知能( AI )スタートアップ企業。AIについては商用モデルとオープンなモデルの両方を持っていることでよく知られる同社は、本社をパリに置きつつ、米国と英国も拠点を構えるグローバル企業だ。

 

 

このパートナーシップでは、上記ミストラルAIの大規模言語モデル( LLM )をステランティスの事業全域に導入。データ分析を開発・製造の部門に活かし、顧客へのサービス製品を合理化させることで顧客とのやり取りも強化していく構えという。

 

そんな両社のパートナーシップに基づく最も新たな事例はドライバーにリアルタイムの会話サポートを提供する高度な車載アシスタントとなる。これは顧客満足度、製品開発、製造効率の向上を目的とした1年以上に亘る共同AI主導プロジェクトに基づいている。

 

同車載アシスタントはリアルタイムの音声対応ユーザー マニュアルとして機能する。ユーザーは、車両の機能、トラブルシューティング、警告インジケーターなどについて質問し、それに対して自然な会話形式で即座にガイダンスを受けることができる。

 

また車内アシスタント以外にも、両社はAIを活用した幾つかの取り組みを検討していく。例えば、社内で抱える複雑な構成部品をデータベース化し、それを分析・効率化させる部品表( BOM:Bill Of Materials / 部品管理 )データインテリジェンス。

 

提供製品に関する消費者からのフィードバックをデータ分析し、顧客からの要求傾向と、それに対する適切な是正措置を抽出して製品ライフスタイルの戦域に於いて顧客満足度を向上させる顧客サポートAI。

 

法人の従業員が社用車を購入・使用する際にAIを介してサポートする複数言語で最適化された世界共通のチャットボット。エッジコンピューティング技術を精緻化させ、車両の製造段階で逸早く異常の有無を調査・予測。製造エラーをリアルタイムで検出して大きな異常が発生する前段階でオペレーターが修正措置を講じられるようにする品質管理AIなど、自動車メーカーで実装可能な領域は多岐に亘る。

 

AIの活用についてステランティスの最高エンジニアリング & テクノロジー責任者のネッド・キュリック氏は、「AI分野には多くのプレーヤーが存在します。その中でも、迅速に適応し、高度に連携した方法で有意義な結果を生み出す優れた能力を持つ Mistral AIと提携できることになったことをとても嬉しく思います。私たちは共に協力して、複数の領域でAIの可能性を探求し、製品開発、顧客体験を向上させ、真のメリットを事業上に於いて実現していきます」と述べた。

 

対してミストラルAIのアーサー・メンシュCEO 兼共同創設者は、「このパートナーシップは、GenAI(ジェナイ/ 学習を下に新たなコンテンツを生成するジェネレーティブAIを指す )をより身近で価値あるものにするという当社の取り組みに於ける重要な一歩です。

 

それはステランティスの事業全域へAIテクノロジーを活かそうとする大胆なアプローチ手段だけでなく、高度なAIを現実世界の運転体験に統合していこうとするその姿勢にも現れており、それらは現在のモビリティを取り巻く世界を多く改革することに繫がります。ステランティスのそうした経営姿勢はAIエンジニアのモチベーションをより高めてくれるため、我々にとって理想的なパートナー企業でもあるのです」と語っている。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。