OKIグループのOKIエンジニアリング(OEG)は11月9日、EV(電気自動車)・HV(ハイブリッド車)に搭載する電子機器を対象とした「大電力対応シロキサン暴露試験サービス」を、11月10日から開始すると発表した。電装品や車載機器メーカーの製品開発を支援し、今年度1,000万円の売り上げを目指すとのこと。
シロキサン(低分子シロキサン)は、ケイ素と酸素を分子骨格に持つ、ケイ酸有機化合物のことで、車載ケーブルの被覆、耐熱ホースなど電装品の接続用部品に使用されるシリコーンに含まれている物質。シロキサンは常温・常圧でも気化するため、電装品のスイッチやリレーの接点部分で酸化分解され、絶縁被膜を生成して導通不良を起こし、その結果、ブレーキランプが点灯しない、ブレーキを踏んだことをスイッチが認識せずエンジンが始動しないなど、車両への影響を及ぼすことがあることが指摘されている。シリコーン自体は、電装品のほか車内外の清掃に使うワックスや撥水剤、つや出し剤、エアバックコーティング、さらには整髪剤、洗濯用柔軟剤などにも使用されているため、搭乗者が車内に持ち込んだシリコーンが車両に影響を及ぼす場合もある。
OKIエンジニアリングは、このシロキサン問題に早くから対応し、2008年からシロキサンに関する分析・解析サービスを、また2013年から「シロキサン暴露試験」のサービスを提供してきた。シロキサン暴露試験とは、一定のシロキサン濃度環境下でリレーやモーターに通電し、実環境と同じ電圧、電流を流してスイッチのオンオフを繰り返し行い、機器内部の接点部分の酸化分解による動作不良の発生有無を確認する試験をいう。
近年、環境への配慮からEV・HVなど電動車へのシフトが進んだことに伴い車載機器の大電力化が進み、シロキサン暴露試験においても大電力に対応した環境が必要になっている。OKIエンジニアリングでは、従来12ボルトと24ボルトの電圧で試験を行ってきたが、今回最大800ボルトの高電圧が供給できる試験設備を導入し「大電力対応シロキサン暴露試験」の環境を整えた。
また、シロキサン暴露試験には、人の入れない密閉された空間で、実際に機器を動作させるためにスイッチを打鍵して試験を行うものもある。この場合、試験対象機器に合わせてスイッチの個数、位置、押す力、押す回数、押している時間、離している時間、押すスピード、押す角度などを設定した、自動打鍵試験装置が必要になる。OKIエンジニアリングでは、各仕様に合わせたオリジナルの自動打鍵治具・装置を自社で製作し、さまざまな車載機器の試験に対応するとしている。