STマイクロエレクトロニクス(以下ST)は5月31日、車載用の低端子間容量デュアル過渡電圧サプレッサ(TVS)「ESDCAN03-2BM3Y」を発表した。同製品は、小型パッケージで提供され、CANおよびCAN-FDインタフェースの保護において優れた性能を実現するという。
ESDCAN03-2BM3Yは、小型サイズ(1.1 x 1.0mm)のため、ADAS(高度運転支援システム)や自動運転用制御装置、車載用ゲートウェイといった高密度の車載ECU(電子制御ユニット)の増加に伴う小型・高性能のプロテクション・デバイスへのニーズに対応する。SOT23-3LやSOT323-3Lパッケージで提供される従来製品と比較して、基板面積を75%以上削減できるとのことだ。
また、優れた過渡電圧保護性能を備えており、クランプ電圧は1A(8/20µs)で33V、および16A(伝送ライン・パルス: TLP)で37V。ISO 16750-2(ジャンプスタートおよび逆バッテリ接続テスト)規格への準拠や、15kVのESD接触放電(ISO 10605)に耐える堅牢性、および高いサージ電流耐性(ピーク・パルス定格3.3A)などの性能を備えている。
ESDCAN03-2BM3Yは、端子間容量がわずか3.3pFであるため、CAN / CAN-FDだけでなく、FlexRay™やUSBといった高速かつ高データ・レートのバスにも対応可能。さらに、この低端子間容量により信号経路の配線時にもマージンが得られるため、基板設計の簡略化にも貢献する。
最大接合部温度は175°Cで、車室内から要件の厳しいエンジン・ルームまで、自動車のあらゆる場所に使用できる。また、24V時に50nAというきわめて低いリーク電流により、EV(電気自動車)が動作していないときのバッテリ消費を最小限に抑えることができるため、航続距離の延長に貢献するという。
ESDCAN03-2BM3Yは現在量産中で、リードレスのDFN1110パッケージで提供予定。同パッケージには、はんだ実装後の高速自動光学検査に対応したウェッタブル・フランク構造が採用されているため、高い品質保証が実現可能だ。単価は、1000個購入時に約0.044ドル。