STマイクロエレクトロニクス(以下「ST」)は7月26日、絶縁型降圧コンバータ「A6986I」および「L6986I」を発表した。
これらの製品は、幅広い入力電圧範囲と低暗電流を特徴とし、車載および産業機器において最大5Wで優れた堅牢性と電力効率を実現する。
絶縁型の降圧トポロジは、レギュレーションされた非絶縁型の1次側電圧と1つ以上の絶縁型2次側電圧が必要なシステムにおいて、部品コストの大幅な削減に貢献する。2次側電圧は、変圧器の巻数比によって調整するため、調整用のフォトカプラは不要。主に、非対称の絶縁型電源レールが必要なSiC MOSFETおよびIGBTのゲート・ドライバの駆動や、RS-232、I2C、SPIなどの絶縁型インタフェースへの電力供給などに適している。
A6986Iコンバータは、AEC-Q100のグレード1に準拠しているため、車載用オンボード・チャージャ(OBC)や電気自動車 / ハイブリッド自動車(EV / HEV)のトラクション・ドライブなどに適している。100%のデューティ・サイクルと4V~38Vの幅広い入力電圧範囲を備えており、車載システムのコールド・トランクおよびロード・ダンプに対応する。一方、産業グレードのL6986Iは、モータ・ドライバ、太陽光発電用パワー・コンディショナ、無停電電源装置(UPS)、溶接機などに適している。
両製品ともに、ピーク電流モード制御による強制PWMモードで1次側出力電圧を調整する。1次側の負電流制限値が拡張されているため、柔軟性が非常に高く、標準的な変圧器の巻数比を使用して2次側電流を最適化することができる。また、プログラマブル・ソフトスタート機能が搭載されているため、高い信頼性を実現すると共に、パルス・バイ・パルスの電流検知機能によって1次側の定電流保護が可能。電流検知機能は、待機時間があらかじめ300nsに設定されているため、変圧器の漏れインダクタンスによる振動をフィルタリングでき、安定性に優れたハイサイド・スイッチングが実現する。さらに、過電圧保護およびサーマル・シャットダウン機能も搭載。外部同期用のピンにより、スイッチング周波数の設定が可能となる。
また、シングル出力 / デュアル出力の車載用コンバータ開発を加速させる2つの評価ボード「STEVAL-A6986IV1」(絶縁型、出力18V~-4.5V)および「STEVAL-A6986IV2」(絶縁型、単一5V出力)も提供されている。両ボードの電圧は、外付け部品を使用して調整することも可能だ。
L6986I(産業グレード)の単価は、1000個購入時に約1.00ドル。A6986I(車載グレード)の単価は、1000個購入時に約1.87ドルとなる。両製品ともに現在量産中で、熱効率に優れたHTSSOP-16パッケージで提供される。また、評価ボードも入手可能となっている。