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2021年6月23日【CASE】

ST、次世代の自動車開発に向けた車載用マイコンを発表

NEXT MOBILITY編集部

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半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は6月23日、自動車業界の主要企業向けに車載用マイクロコントローラ(マイコン)「Stellar SR6」の提供を開始したと発表した。同製品はソフトウェア開発用の仮想プラットフォーム・モデルとともに提供される。

 

 

2024年に量産開始を予定しているStellar SR6は、優れた拡張性を備え、高性能・高効率の車載用プラットフォームとして設計された。特に、車両の配線を簡略化するドメイン / ゾーン・コントローラに最適で、ソフトウェア定義のプラットフォームへの移行による柔軟性向上、多機能化、およびシステムの信頼性向上に貢献するという。

 

 

STのオートモーティブ & ディスクリート・グループ社長であるMarco Monti氏は同製品について次のようにコメントしている。

 

 

「主要顧客との協力により、STは革新的な車載用マイコンであるStellar SR6のテストに成功し、量産が予定されている新しい自動車向けに最初の製品を提供するというマイルストーンを達成することができました。Stellar SR6は、コネクテッドでスマートな次世代の自動車において、優れた安全性と持続可能性、および、より価値のあるユーザ体験を実現します。また、自動車メーカーやパートナー企業に対して付加価値の高いサービスを提供することで、顧客との関係強化に貢献します」

 

 

Stellar SR6は、STの堅牢性の高いFD-SOIプロセス技術を採用しているとともに、優れたソフト・エラー率(SER)耐性を備えた製品。そのため、自動車用機能安全規格(ISO 26262)の安全性レベルASIL-Dに準拠する高い信頼性と可用性を備えた車載用システムの開発が可能になるという。

 

 

また、ハードウェア・ベースの仮想化技術が搭載されているため、単体で複数のソフトウェア・アプリケーションを処理でき、リアルタイムで確定的かつ個別に実行することができる。さらに、複数の独立したアプリケーションや仮想電子制御ユニット(ECU)を実装処理することができるため、設計の柔軟性向上にも貢献するとのことだ。 

 

 

まず最初に提供される「Stellar SR6 P / Gシリーズ」は、最大20MBの堅牢な相変化メモリ(PCM)を搭載しており、高いデータ保持性能を実現し、AEC-Q100 Grade 0に準拠。Stellarのデュアル・イメージ・ストレージは、OTA(Over-The-Air)での効率的なアップデートを可能にしている。OTAアップデート時にPCMセル構造を2倍のメモリ・サイズ(最大 20MB x2)に構成するSTの技術により、メモリ・サイズを大幅に抑えて効率的に利用することも可能になっている。また、PCMは、他の不揮発性メモリ(1Tのシングル・トランジスタNOR Flashなど)と比較してアクセス時間が高速化されているとのことだ。

 

 

Stellar SR6ファミリは、同じプラットフォームをベースとする2つの製品シリーズ(P / G)から構成される。 

 

 

同社によると、Stellar SR6 Pシリーズは、次世代のドライブ・トレインおよび電動化向け統合 / ドメイン・システムの要件を満たすよう設計されており、強力なリアルタイム性能および確定性による優れたドライビング体験と安全性が特徴。

 

 

Stellar SR6 Gシリーズは、CAN、LIN、およびイーサネット・ネットワークを介してセキュアなデータ・ルーティングを可能にする高効率アクセラレータを搭載し、さまざまな通信インタフェースを提供。また、低暗電流に対応した柔軟な低消費電力モードと高機能モニタリング・サブシステムを搭載し、システム全体の電力効率向上に貢献するとしている。 

 

 

【技術情報】

 

Stellar SR6の高性能アーキテクチャは、以下の機能を搭載し、自動車業界における高性能、確定性、柔軟性、安全性、およびセキュリティ要件に対応。

 

 

• 6個のArm® Cortex®-R52と、ISO 26262 ASIL-Dの要件を満たすロックステップ機能およびスプリット・ロック機能を搭載

 

• アプリケーションを統合する高効率なソフトウェア分離プラットフォーム: Cortex-R52のハイパーバイザ権限レベルによる組込み仮想化技術、ハイパーバイザとアプリケーションの仮想マシンID(VMID)に基づく、あらゆるアーキテクチャ・レベル(主にコアMPUやネットワーク・オン・チップのファイアウォール)におけるリソース・アクセス保護

 

• 性能向上とシングルビット・エラーの防止を実現するシングルビット変更機能、革新的なアプリケーション設計を実現するNVM / RAM機能の統合、EEPROMのネイティブ・サポートなど、優れた性能および機能を備えたPCMを搭載

 

• 外部メモリ用のeMMC(組込みのマルチ・メディア・カード)およびHyperbus™インタフェース

 

• 3つのArm Cortex-M4、浮動小数点演算ユニット、およびDSP拡張命令による特定用途向けのアクセラレーションおよびセキュリティ・サブシステム 

 

• EVITA(E-safety Vehicle Intrusion Protected Applications)のサイバー保護アーキテクチャに完全対応したハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)。このHSMとマルチバス・ルーティングを組み合わせることで、実行時間に制約のある車載ネットワーク(イーサネット / CAN-FD / LIN)の通信を保護

 

• MACsec(媒体アクセス制御セキュリティ・プロトコル)、IPsec(IPセキュリティ・プロトコル・スイート)、CAN認証向けの専用暗号化アクセラレータ

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。