ソニー・ホンダモビリティ(SHM)が10月13日、設立発表会見を開催した。
新会社は、ソニーグループ(以下、ソニー)と本田技研工業(ホンダ)が共に50%ずつ出資して設立した、高付加価値型のエレクトリック・ビークル(EV)の共同開発・販売とモビリティ向けサービスの提供を行う合弁会社。多様な知を繋げ、最先端テクノロジーを追求するMobility Tech Company(モビリティー・テック・カンパニー)として、人の感性や行動へ働きかけていくモビリティの革新を実現していくと云う。
会見では、代表取締役会長兼CEOの水野泰秀氏と、代表取締役社長兼COOの川西泉氏によるスピーチが行われ、経営の方向性、モビリティとサービスの方向性やその投入計画、技術的な取り組みなどについて語られた。
1. 設立の経緯
・ソニーとホンダは3月4日、モビリティ分野に於ける戦略的提携に向けて基本合意し、6月16日に「ソニー・ホンダモビリティ」の設立に関する合弁契約を締結。高付加価値型のエレクトリック・ビークル(EV)の共同開発・販売と、モビリティ向けサービスの提供を合わせて事業化することで、モビリティ業界に於ける変革をリードしていく点で合意した。
2.経営の方向性と存在意義
・ソフトウェアを中心とした新しい技術の投入や、他社とのパートナーシップ構築を積極的に行い、新しいアイデアを採用することで、高付加価値型の商品やサービスの提供、客との新しい関係の構築にチャレンジし、「Mobility Tech Company」を目指す。
・両社の知見だけでなく、共感・共鳴するカスタマー、パートナー、クリエイターの知を結集し、オープンに参加できる機会や場の醸成に積極的に取り組む。
・企業パーパス(存在意義)は「多様な知で革新を追求し、人を動かす」。
・知を繋げ、最先端のテクノロジーへの挑戦を行い、人の感性や行動へ働きかけていく、人を動かしていくモビリティの革新を実現していく。
3.客との接点、商品投入計画
・商品の販売やアフターサービスのみならず、バリューチェーン全体で客との関係を長く深くするための、リアルとデジタルを融合させた新しいサービスを提供。
・商品の所有に関わらない、ブランドに共感する仲間が集うコミュニティづくりを目指し、様々な産業を支えるパートナーと新たな体験価値創出に向けた協業に取り組んでいく。
・販売は、オンラインを中心に行う予定。客とダイレクトに繋がり続けるネットワークを構築。
・商品開発プロセスへの参加を呼びかけ、販売後もパーソナライズされた顧客体験を個々に提供し続ける。
・SHMによる第1弾の商品は、2025年前半から先行受注を開始し、同年中に発売を予定。デリバリーは、先ず北米(2026年春)で、その後日本(2026年後半)で行う計画。
・生産拠点はホンダの北米工場を予定。
4.モビリティとサービスの方向性、技術的な取り組み
・ソニーとホンダがこれまで個々で検討してきた、モビリティの進化への貢献・リードという考えをベースに、SHMとしての高付加価値型EVのコンセプトを3つの“A”(①Autonomy(オートノミー):進化する自律性/②Augmentation(オーグメンテイション):身体・時空間の拡張/③Affinity(アフィニティー):人との協調、社会との共生)に集約。
①Autonomy:進化する自律性
– 安心安全技術の上に、快適な移動空間を提供。
– 特定条件下での自動運転機能、レベル3搭載を目指すと同時に、市街地等、より広い運転条件下での運転支援機能、レベル2+の開発にも取り組む。
– ハードウェアとして合計800TOPS(*1)以上の演算性能を持つ高性能SoC(*2)を採用予定。
②Augmentation:身体・時空間の拡張
– 新たなHMI(*3)を提案し、クラウドで提供するサービスと連携することで、ユーザーごとにパーソナライズされた車内環境を実現。ユーザーに運転以外の楽しみを提供する。
– リアルとバーチャルの世界を融合していくことで、移動空間をエンタテインメント空間、感動空間へと拡張。メタバースなどデジタルをフルに活用し、新しいエンタテインメントの可能性も追求。
– HMI/IVI(*4)システムには最新のSoCを2個搭載。また高性能なAD/ADAS(*5)ECU(*6)と組み合わせて、従来のECUをハイパフォーマンスな統合ECUに集約していく。
③Affinity:人との協調、社会との共生
– カスタマーだけでなく、自動車産業や様々な産業を支えるパートナー、そしてモビリティに於ける新しいエンタテインメントの創出に共にチャレンジするクリエイターと、オープンで自由な環境を作っていく。
・サービスの方向性は、双方向性のあるモビリティ社会と、新しいエンタテインメントの創出。車載ソフトウェアからクラウド上のソフトウェアまで一貫した統合的なフレームワークを用い、モビリティを移動体験サービスと捉え、サービス全体のアーキテクチャを設計していく。
*1)TOPS:1秒あたりの演算処理回数(兆回)の単位。Tera Operations Per Second の略語。
*2)SoC:装置やシステムの動作に必要な機能のすべてを、一つの半導体チップに実装する方式。System on a chipの略語。
*3)HMI:人と機器をつなぐ装置や手段の総称。Human-Machine Interface の略語。
*4)IVI:車載インフォテインメント(In-Vehicle Infotainment)の略語。
*5)AD/ADAS:自動運転(Automated Drive)、先進運転支援システム(Advanced Driving Assistant System)の略語。
*6)ECU:車両に搭載される電子制御ユニット(Electronic Control Unit)の略語。
[会社概要]
– 社名:ソニー・ホンダモビリティ株式会社(Sony Honda Mobility Inc.)
– 所在地:東京都港区
– 資本金:100億円
– 出資比率:ソニーグループ株式会社 50%、本田技研工業株式会社 50%
– 役員構成:
代表取締役 会長 兼 CEO:水野 泰秀
代表取締役 社長 兼 COO:川西 泉
取締役 副社長:山口 周吾
取締役 専務:岡部 宏二郎
取締役(非常勤):小澤 学(本田技研工業株式会社)
取締役(非常勤):堀井 直也(ソニーグループ株式会社)
■ソニー・ホンダモビリティ:https://www.sony-honda-mobility.com/