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2023年9月12日【部品・生産】

ソニー、業界最多画素の車載カメラ用CMOSセンサを商品化

NEXT MOBILITY編集部

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ソニー・ロゴソニーグループ傘下で半導体関連事業を手掛けるソニーセミコンダクタソリューションズ (SSS)は9月12日、業界最多となる(2023年9月12日時点)有効1,742万画素の車載カメラ用CMOSイメージセンサー「IMX735」を商品化すると発表した。

 

サンプルの税込価格は3万円で、出荷時期は2023年9月を予定している。これにより同社では、この製品を通じ高度な検知・認識を可能にする車載カメラシステムを実現させ、安全な自動運転の実現に貢献出来るという。

 

また通常、システムが自律的に運転操作を行う自動運転車には、周囲360度の車外環境を高精度に捉えることが出来る高度な検知・認識性能が必要とされる。そこで今回は、求められる車載性能の実現に向け、車載カメラシステムの高性能化に寄与できるイメージセンサーであることを目指した。

 

今回の有効1,742万画素を実現した「IMX735」は、遠くの対象物でも高精細に捉えられる。また画素から出力される信号を、メカニカルスキャン方式のLiDARと同じ水平方向に1列ずつ出力する方式を採用していることで、LiDARとの同期がし易く、自動運転システム全体として検知・認識性能を向上させることが出来るとした。

 

更に独自の画素構造と露光方法により、飽和照度を改善させたことで、HDR(ハイダイナミックレンジ)機能とLEDフリッカー(撮影時に起こるちらつき)の抑制が効き、結果106dBの広いダイナミックレンジが実現。ダイナミックレンジ優先に設定した場合にも130dBも可能とした。

 

加えて逆光などの条件下でも白飛びを抑制し、トンネルの出入り口などの明暗差の大きい道路環境でも、対象物をより正確に捉えることが出来るという。

 

[主な特長]

1)業界最多1,742万画素で長距離認識が可能

業界最多となる有効1,742万画素によって、対象を高精細に捉えることができるのが大きな強みだ。従って道路状況や、車両、歩行者などの対象物の認識範囲をより遠距離まで広げることが可能になる。また走行時には、遠距離の対象物を早期に検知することで、安全な自動運転システムの実現に貢献出来るとしている。

 

IMX735(有効1,742万画素)による撮影例(上段)とその拡大画像(下段左)。SSS社の他製品(有効839万画素)で撮影した画像の拡大画像(下段右)。 IMX735(有効1,742万画素)による撮影例(上段)とその拡大画像(下段左)。SSS社の他製品(有効839万画素)で撮影した画像の拡大画像(下段右)。

 

2)LiDARと同期しやすい水平出力方式を採用

一般的なCMOSイメージセンサーは、画素から信号を読み出す際に画素を一行ずつ垂直方向に出力する。一方で「IMX735」では、水平方向にレーザーを走査するメカニカルスキャン方式のLiDARとの同期を容易にするため、一列ごとに水平方向に出力する読み出し方式を採用した。

 

この結果、製品を搭載した車載カメラとLiDARからそれぞれ出力される情報をシステムの後段で融合できる。それにより自動運転システム全体として検知・認識性能を向上させることが可能とした。

 

 

3)“HDR+LEDフリッカー抑制”同時利用時でも広いダイナミックレンジ

運転環境下では、トンネルの出入り口などの明暗差が大きなシーンでも対象物を正しく検知・認識する必要がある一方、信号機などのLEDを使用した交通設備が増加している昨今、車載カメラではHDR撮影時にLEDフリッカーの抑制が求められる。

 

そこで「IMX735」では、独自の画素構造と露光方法により、飽和照度を改善し、HDR撮影とLEDフリッカー抑制機能の同時利用時にも、106dBの広いダイナミックレンジ(ダイナミックレンジ優先で設定した場合は130dB)を実現させた。

 

加えて、動く被写体を撮影する際に発生するモーションアーティファクト(動く被写体を撮影する際に発生するノイズ)も低減させることが出来ている。

 

4)車載用途に求められる品質に対応

なお同製品は、自動車向けの信頼性試験基準「AEC-Q100」の「Grade 2」を量産までに取得する予定としている。

 

また、自動車向け機能安全規格「ISO 26262」に準拠した開発プロセスを導入し、自動車用安全水準「ASIL-B(D)」に対応させた。この結果、車載カメラシステムの信頼性向上に貢献させることが出来ているとした。

 

5)車載用サイバーセキュリティに対応(オプション)

CMOSイメージセンサーの真正性を確認する公開鍵アルゴリズムを用いたカメラ認証に対応。取得した画像の改竄を検知するための画像認証、制御通信の改竄を検知するための通信認証にも対応することが出来る。

 

<主な仕様>

– 型名:IMX735
– 有効画素数:3,017(H)×5,777(V)約1,742万画素
– イメージサイズ:対角13.70mm(1/1.17型)
– ユニットセルサイズ:2.1μm(H)×2.1μm(V)
– フレームレート(全画素):3AD 45fps, 4AD 40fps
– 感度(標準値 F5.6、1/30秒蓄積):880mV(Green Pixel)
– ダイナミックレンジ(EMVA 1288規格):

・106dB (LEDフリッカー抑制機能あり)
・130dB (ダイナミックレンジ優先)

– 電源電圧

・アナログ:3.3V
・デジタル:0.8V
・インターフェース:1.8V

– インターフェース:MIPI CSI-2 シリアル出力(4 lane / 2 lane)
– パッケージ:236pin Plastic BGA
– パッケージサイズ:14.54mm(H)×17.34mm(V)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。