ITセキュリティやリアルタイム映像送信、組込みシステムなどを開発ソリトンシステムズ(代表取締役社長:鎌田信夫、以下ソリトン)は8月7日、静岡県が運営する自動運転実証実験事業「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」の連携企業として、下田市の公道で実施予定の実証実験に参加する。(坂上 賢治)
下田市での実証実験における遠隔監視・運転システム構成
上記のしずおか自動運転ShowCASEプロジェクトとは、静岡県が主導し産学官合同で進める自動運転を中心とした社会実験プロジェクトを指す。
その目的は〝自動運転等の最新技術を活用した移動サービスの導入による地域交通の課題解決の検証(運転手不足、過疎地域等高齢者への移動支援、公共交通ICT可等への対応)〟〝EV等、次世代自動車及び自動運転車両の研究による静岡県内企業の技術開発を促進〟など。
期間は2018年から2024年まで。下田市を含む静岡県4地域での実証実験が計画されている。現在、参加の連携企業・大学はソリトンを含め13社・2大学となっている。
この実証実験でソリトンは、下田市内を自動運転する小型バスの走行状況、車内状況を、市外に別途設置された運用センターから監視し、その小型バスを同センターから遠隔で運転制御できるシステムを提供する。
現在、各地で実証中の自動運転では、路上駐車の追い抜き判断、歩行者の車道横断振る舞いの判断など、システムのみでは情況判断が難しいケースが多く発生。システムの制御能力自身を超える事象が生ずることもある。ゆえに現行の自動運転走行ではドライバーが運転席で常時待機するよう義務付けられている。
一方、今回ソリトンが開発を進めてきた遠隔監視・運転システムは、この課題の解決を狙い、通信によって車外から同時に複数台の自動運転車の走行状況等を監視して把握。人間の操作が必要となった自動車に対して運転操作を車外の運転手が遠隔から行う。これはドライバーの無人化を早期に実現できる方式として、期待が高い手段のひとつだ。
これを踏まえた下田市の実証実験では、本年中に運用センターを市外に設置。そこから複数台の自動車の走行状況、車内情況を監視すると共にセンターから車外歩行者、対向・後続車向けに拡声、情報表示を行い、車内乗客との通話を可能とする。
この際、ソリトンは遠隔運転システムとして映像デジタル処理時間40ミリ秒を実現した超短遅延映像伝送装置Smart-telecaster Zao-SH(モバイル回線を使った制御信号の伝送に加え、独自のH.265エンコーダと伝送プロトコルで超短遅延伝送を実現させる仕組み)を組み込む。
これにより、標準のモバイル回線(LTE)適用の下でも車両~センター間トータルの映像遅延時間が大幅に短縮され、あわせてこれらの回線を複数の通信事業者間で同時多重することにより、センターからの遠隔運転の安全性を飛躍的に高める構えだ。
同社は同技術を発展させていくことで公道のみならず、空港、工場構内、工事現場、農地などのいわゆる閉域領域における遠隔運転ニーズにも応えていきたい意向。一般の公道走行車両に加えて、各種自動車、建機、農機などへ遠隔運転の適用を目指す。