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2018年4月11日【自動車素材】

ソフトバンクと物質・材料研究機構、リチウム空気電池の実用化に向け連携

NEXT MOBILITY編集部

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ソフトバンクと国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)は、「NIMS-SoftBank先端技術開発センター」の設置に関する覚書を、4月11日に締結した。

 

同センターでの共同研究を通して、まず次世代の革新的電池であるリチウム空気電池の実用化に向けて連携を開始する。

 

「あらゆるモノ」がインターネットにつながるIoTでは、モノから情報を取得すること(センシング)が重要となるが、これらのセンシングデバイスが至る所で長期間にわたって動作するためには、高性能な電池が必要となる。

 

今回、両者が実用化を目指すリチウム空気電池は、空気中の酸素と化学反応することでエネルギーを生成し、これまでのリチウムイオン電池に比べ、重量エネルギー密度が5倍以上となる理論上究極の蓄電池。

 

IoT時代に向けて、さまざまなセンシングデバイスやウエアラブルデバイスなどにも長時間装用、駆動ができる軽量な電池として親和性が高いことに加え、大容量の特性を生かしてドローンなどの飛行物体、ロボティクス分野などあらゆる産業への拡張性を持つ電池となるとしている。

 

両者は今後、リチウム空気電池の研究開発を重ね、2025年ごろの実用化を目指す。

 

コインタイプ(左)とスタックタイプ(カットモデル、中央~右)のリチウム空気電池

コインタイプ(左)とスタックタイプ(カットモデル、中央~右)のリチウム空気電池

スタックタイプのリチウム空気電池によるおもちゃのヘリコプターの動作実証実験

スタックタイプのリチウム空気電池によるおもちゃのヘリコプターの動作実証実験

 

ソフトバンクは、第1弾となるリチウム空気電池の共同研究の他に、同センターでの活動を通して、センシングやウエアラブル分野、飛行体分野などにおけるIoT時代に欠かせないさまざまな技術開発を加速させ、さらなる情報革命を進めていくとしている。

 

またNIMSは、今回の連携が、基礎研究の成果が企業との実用化研究に結び付く好例になると捉えると共に、「2025年までに大学・研究開発法人等に対する企業の投資額を2014年の水準の3倍とする」政府目標にも沿ったものと考えているとコメント。

 

また、今後リチウム空気電池の研究開発を加速させ、政府目標であるSociety 5.0(※1)の実現に貢献していくとしている。

 

なお、同センターで共同研究を行うリチウム空気電池は、文部科学省委託事業「統合型材料開発プロジェクト」による基礎研究(※2)の成果を、科学技術振興機構「先端的低炭素化技術開発プログラム‐特別重点領域『次世代蓄電池(ALCA-SPRING)(※3)』」で発展させたものを基としているとのことだ。

 

※1:狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、政府の第5期科学技術基本計画において日本が目指すべき未来社会の姿として提唱された。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会の実現を目指している。Society5.0の実現のためには、IoT(Internet of Things)の普及が前提と考えられていますが、その実現のためには小型・高容量で低コストの電池が大量に必要になる。

 

※2:2009年10月、グリーンイノベーションを目指したナノテクノロジー材料開発を推進するための文部科学省委託事業を行う研究拠点としてNIMS内にナノ材料科学環境拠点(GREEN)を新設。最高の理論エネルギー密度を有するリチウム空気電池をいち早く取り上げ、特別推進チームを設けて研究開発を行っている。

 

※3:2010年に発足した政府の温室効果ガス排出の低減を目指した低炭素技術開発に特化した研究プログラムALCAに、次世代蓄電池の研究成果の社会実装を加速するため、電池という出口に向かってトップダウン型の研究を推進するALCA-SPRINGが2013年に10年計画でスタート、そこでNIMSは中核的な役割を果たしている。

 

■リチウム空気電池の詳細(PDF):

https://cdn.softbank.jp/corp/set/data/group/sbm/news/press/2018/20180411_01/pdf/20180411_01.pdf

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。