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2022年8月30日【IoT】

シーメンス、日産アリア製造工程のデジタル化に貢献

坂上 賢治

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シーメンスと日産自動車、新型日産アリアの生産ライン構築で連携

 

シーメンスは8月30日、日産自動車・栃木工場に於ける日産アリアの生産ラインで、自社のオートメーション工程に係るノウハウとデジタル技術を提供する事で、車両生産初期の立ち上げを支援したと発表した。( 坂上 賢治 )

 

具体的には、栃木工場のアリアの生産ラインの立ち上げに於いて、制御機器の提供を筆頭に、生産計画策定からオペレーションに至る過程で、デジタル化された自動化工程を実現したという。

 

 

栃木工場で日産が導入したシーメンスのシステムアーキテクチャは、新世代パワートレインの加工と組立の標準化を目的としたものとなっており、ここに「セーフティPLC Simatic S7-1500」及び「ET200SP分散型 I/Oモジュール」が、OSS(Siemens One Single Solution)として搭載されたと記している。

 

これによりマネジメントレベルに至るエンドツーエンドの通信環境が実現。エンジニアリングフレームワークのTIAポータルも含め、全てのオートメーション機器を完全に統合したものとなったとしている。シーメンスによると、この結果、デジタル化した計画作成から透明性の高いオペレーションに至る迄、デジタル化されたオートメーション工程が完成したとしている。

 

シーメンスのIoT対応ハード&ソフトウェア、デジタルポートフォリオを活用

 

ちなみに今回の取り組みで、シーメンス AG取締役デジタルインダストリーズのセドリック・ナイケCEOは、「日産とは長年に亘り、主にソフトウェア分野で協力関係を築いて来ました。

 

 

実際、日産はシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア製品を設計と生産の最適化に活用しています。当社のエンドツーエンドの包括的なデジタルスレッドが、日産の製品ライフサイクル管理(PLM)プラットフォームの様々な情報源の連携を実現しています。

 

この新しい生産ラインの立ち上げは、両社の協業体制上での重要なマイルストーンになります。特に私が強調したいのは、気候変動、化石燃料の採掘限界、および厳しいCO2規制や環境面での規制が、電動パワートレインの開発や電気自動車生産の強力な推進力となっている事です。

 

そうしたなかシーメンスは、日産の生産設備のデジタル化と電子化を支援する事で、日産のカーボンニュートラル目標に今後も貢献していきます。今後も当社のノウハウと最先端技術の全てを投入し、柔軟性が高く、効率的で、何よりもサステナブルな自動車生産を実現します」と述べた。

 

長年に亘る両社の協力関係に基づく新たな取り組みを100%電気自動車に活かす

 

対して日産自動車・車両生産技術開発本部の平田禎治常務執行役員は、「ニッサン インテリジェント ファクトリー栃木では、モビリティの未来を創造しています。これにより、作業環境の改善だけでなく、ゼロ・エミッションの生産体制も実現出来ます。

 

 

当社は、新しい電気自動車の生産ラインをデジタル化するために、当社のイノベーションパートナーであり、産業オートメーションとデジタル化のリーディングカンパニーでもあるシーメンスと連携する事にしました。それはシーメンスが、同分野で必要とされる知見を持ち合わせているからです」と話す。

 

 

この発言を受けてシーメンスは、「自動車のインテリジェント化には、より高機能なECU(電子制御ユニット)を搭載する必要があり、新型日産アリアも同様です。シーメンスの診断システム「シディス・プロ(Sidis Pro)」は、既にす世界中の多くの自動車メーカーで採用実績があり、電気自動車の生産に於いてもその数々のメリットを発揮する事が出来ます。

 

これが日産の新たな生産ラインでは、ECUへのデータ書込みや車両電装品の検査を実施するために導入されています。Sidis Proは、車両の検査工程を最適にサポートする事により、高品質な車両生産を実現する、先進的な診断と検査データのマネジメントシステムです。

 

 

またSidis Proは、サーバー機能を用いて様々なデータを管理し、生産ラインのデジタル化にも貢献しています。また生産計画に応じて容易に変更でき、その変更点が迅速に展開出来るため、自動車生産では最大限の柔軟性を実現します。

 

このように同じソフトウェアを異なる用途に使用する事で、システムの標準化が可能となり、他の生産拠点でも少ないリソースで多くの業務をこなせるようになるでしょう。シーメンスは今後も日産の生産設備のデジタル化・電動化をサポートし、日産の掲げる日産インテリジェントファクトリーの実現へ貢献していきます」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。