昭和電工は、レアアース磁石合金の合金研究開発事業を、2019年1月末を目途にTDKに譲渡することについて合意し、11月27日、譲渡契約を締結した。
今回の譲渡契約では、昭和電工グループが行うレアアース磁石向け合金事業のうち、秩父事業所で行われている技術研究開発事業及び同社が保有する知的財産権などが対象となる。
レアアース磁石は、HDDや風力発電設備、FA(ファクトリーオートメーション、一般産業)機器などに使用されるモーターや家電製品の高性能・小型化・省エネ化に必要な材料として、社会のさまざまな場面で使用されている。
昭和電工は、1986年にレアアース磁石向け合金の製造を開始して以降、新技術の開発に取り組み、ジスプロシウム(元素記号Dy)やテルビウム(Tb)など重希土類を使用せずに従来品と同様の性能を持つネオジム磁石用合金の開発に成功するなどしてきた。
またTDKは、独自の素材技術、特に磁性材料技術をベースとし、電子部品をはじめ様々な製品を展開。このうち、磁石事業に関しては、レアアースを多く含むネオジム磁石と、フェライトをベースとしたフェライト磁石をラインナップしており、自動車向けをはじめ、産業機器、ICTなど各分野で使用されるモーター向けに幅広く提供している。
昨今、EV(電気自動車)化の進展に伴い、世界での磁石需要が大幅に増えることが予想されるとともに、用途にあわせた合金開発を含め、磁石開発の早期化が求められている。このような状況下、高性能希土類磁石の製品化、ハイブリッド自動車や電気自動車用製品の開発など、マーケットをリードする製品の開発のスピードアップを図る目的から、昭和電工は、同社技術・研究開発機能のTDKへの譲渡を行うこととしたと云う。
なお技術・研究開発機能譲渡後も、昭和電工は、秩父事業所で行っているレアアース合金の製造を継続するとしている。