昭和電工は、ノンスティック・コーティング剤を製造・販売するスイスのILAG社の全株式の取得を決定し、ILAG社の株式を保有する同国のHelvetica Capitalとの間で株式売買契約を締結した。
ノンスティック・コーティング剤(NSC)は、調理器具や家電製品などの消費者向け製品や、自動車・産業機器などの工業製品に塗布される、焦げ付き、汚れ防止を目的とした材料で、世界における市場規模は、約1,300億円(2019年、昭和電工推定)と見られている。
ILAG社は、消費財NSC市場において世界第4位、欧州市場では第2位に位置し、消費財のみならず、自動車部品向けなど工業分野にも市場を有する企業で、スイス国内で生産した製品を50ヶ国以上に供給。また、中国にも生産拠点を持ち、顧客である中国国内メーカーの調理器具は世界中で販売されている。
ILAG社の買収により昭和電工は、2016年11月に買収した米国の大手調理器具メーカーを主な顧客とする消費財NSC大手の「GMMグループ(中国・香港)」とのグローバル市場においての販売エリア補完など、多くのシナジー効果を期待。同社のNSC事業は60百万ドルの売上規模を獲得し、特に消費財市場において世界的な競争力を有する事業となる。
昭和電工では、機能性高分子・機能性モノマー事業でコーティング材料向けの原料を販売しており、高機能コーティングの材料・処方、評価方法の知見を保有しており、フッ素樹脂系、シリコン系、セラミックス系の種類があるNSCは、同社にとって、事業・製品・技術を組み合わせによって最適なソリューション提供が可能となる市場だと云う。
なお、ILAG社およびGMMグループを統括しグローバル事業運営をするため、7月に「コーティング材料部」を新設する。
昭和電工グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)とし、2025年には事業の半数以上を個性派事業とすることを目指している。
NSC事業についても、個性派事業創出の一環として、買収による事業拡大と既存事業・技術とのシナジーの顕現により、2025年までに安定した収益力を持つ個性派事業への育成を図りるとしている。
[ILAG社の中核企業ILAG Industrielack AGの概要]
– 社名:ILAG Industrielack AG
– 設立年月:1955年12月
– 本社所在地:ヴァンゲン(スイス)
– 代表者:Hans Georg Geisel(CEO)
– 製造拠点:ヴァンゲン(スイス)、上海(中国)
– 事業内容:
消費者向け製品・工業用製品に塗布される焦げ付き、汚れ防止を目的としたノンスティック・コーティング剤の製造・販売