シェフラーは9月5日、中国当地で「サーマルマネージメントモジュール(TMM)」の生産台数が500万台に達したと発表。同社の湘潭工場で中国ディビジョンの役員、オートモーティブ・テクノロジー事業部の経営陣の他、湘潭、安亭、太倉各拠点の従業員が一堂に会し、サーマルマネージメントモジュールの生産台数が節目に到達した事を祝った。( 坂上 賢治 )
TMMはPUの冷却効率を高めるべく冷却制御を集約し効果化を実現する
ちなみに、この〝サーマルマネージメントモジュール〟は、搭載されている動力源を問わず多様な自動車へ搭載されており、パワーユニット(PU)の冷却効率を高めるため冷却流路の制御を1箇所に集約して効果的に流量制御を行うための装置である。
昨今はBEVだけではなく、電動モーターと並列に使用される内燃エンジン搭載車の場合でも、ターボやスーパーチャージャー等の過給器の熱効率を高めて更なる低燃費を実現するべく、細やかかつ強力な冷却コントロール能力が要求される。
その目的達成のためにはサーマルマーネジメントモジュールが最適である事から、現時点でBEVのみならず、内燃ハイブリッドエンジンが伸び続けている中国当地で、同モジュールの生産は拡大の一途を辿っている。
実は、当地の自動車技術会にあたる中国汽車工程学会(中国自動車技術者協会)の技術ロードマップによると「来るべき2035年段階では、低燃費車(ハイブリッドカーなどの節能車)とNEZ(BEVなどの新能源車)が5割ずつである事が望ましいとする指針が示されている。
それゆえ世界でも急激なBEV化が進む中国に於いても、内燃エンジンが搭載された低燃費車が果たす役割は未だ高い状況にある。そうしたなかシェフラーは、TMM生産とその事業開発に於いて漁夫の利を得ているようだ。
当地拠点のCEOは、成し遂げた成果を称えると共に更なる躍進に期待
この実績にシェフラー・グレーター・チャイナ( Schaeffler Greater China )のザン・イリンCEOは式典のスピーチで「チームが成し遂げた成果を称えると共に、更なる躍進を期待しています」と激励した。
また中国当地に拠点を構えるシェフラー・グレーター・チャイナ、オートモーティブ・テクノロジー事業部チェン・シャンビン社長は「シェフラーの自動車事業ポートフォリオ下で、サーマルマネージメントモジュールは、今後も飛躍的な成長が期待される重要な分野です。
当社の中国チームによる懸命な努力と、お客様からの信頼と支援と共に、我々の生産が長年に亘って成長し続けている事を非常に嬉しく思います。
ガソリンエンジン車のサーマルマネージメントモジュールを2011年に市場投入
この事は当社の製品と技術、中国現地での当社の能力が、多様なお客様のニーズに応えられている事を証明するものであり、また、顧客志向サービスによって、多様なニーズに迅速に対応している事実を示すものです。
車両をより効率的で使い易いものにするために、サーマルマネージメントは縁の下の力持ち的存在です。
電気自動車(BEV)やハイブリッド車(PHEV・HEV)から内燃エンジン搭載車に至る迄、サーマルマネジメントはパワートレインの効率性向上、快適な乗り心地、そしてCO2排出量の削減に重要な役割を果たしています。
またニューエナジービークル(NEZ)でも、走行距離を伸ばしたり、電気駆動システムの安全性を高めたりする事にサーマルマネージメントが寄与します。
シェフラーは2011年に、ガソリンエンジン車のパワートレインに使用する最初のサーマルマネージメントモジュールを市場投入して以来、継続的にサーマルマネージメントモジュールの生産に携わってきました。
シェフラーはサプライチェーンの現地化を推し進めて市場占有率を高めてきた
それ以来、同モジュールと関連コンポーネントを、プロダクトデザイン、精度、効率そして部品の統合レベルで一貫して改良し続けてきました。
例えば内燃エンジン車向けのサーマルマネージメントモジュールは、メカトロニクス設計で、高いコンパクト性と効率性を特徴としており、効果的なエンジン暖機運転時間の短縮、車内快適性の向上。更にWLTCモードでの2%から4%の燃費削減に寄与しています。
当社は2016年に中国でサーマルマネージメントモジュールの生産を開始。現在では、湘潭および太倉の生産拠点に生産ラインを構築しています。
以降、長年に亘り、シェフラーはサプライチェーンの現地化を進め、先進的な製造技術を採用し、クラス最高の品質、高いコスト競争力、信頼性の高い納期で、顧客や市場からの高まる要求に応えていく事で市場占有率を高めてきました。それに併せお客様も当地のローカルブランドや合弁会社へと拡大し続けています」と話している。
韓国・日本・ドイツ・米国でも各地に適したTMM開発の手綱を緩めない
一方でシェフラーAGの電動モビリティ事業部門を担うヨッヘン・シュレーダー博士は「シェフラーは、車両のインテリジェントなサーマルマネージメントシステムの先駆的企業であり、メカトロニクス製品で当社の強みを示しています。
電動化によりサーマルマネージメントの複雑さは著しく増大しています。そうしたなかで当社は、何十年にも亘る内燃機関エンジンに向けのサーマルマネージメントモジュールの開発・製造から深いノウハウを構築すると共に、今後の電気自動車に向けても革新的なソリューションを開発しています」と語っている。
なおシェフラーは、上記の中国に加えてチェコ共和国のランシュクロウンとスビタビ、加えてメキシコのイラプアトでもサーマルマネージメントモジュールを生産している。同社はこれを足掛かりに韓国・日本・ドイツ・米国でも各地に適したサーマルマネージメントモジュールの開発を精力的に推し進めている。