NEXT MOBILITY

MENU

2022年6月3日【自動車部品】

三洋貿易、車内・子供置き去り検知センサーの国内普及へ意欲

松下次男

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

IEE社の車内・子供置き去り検知センサーの日本導入普及を目指す

 

自動車内装材などを扱う中堅商社の三洋貿易は6月3日、オンラインで記者会見を開き、車内の子供置き去り検知センサーの日本導入を始めると発表した。

 

ルクセンブルクに本社があるIEE社製を扱うもので、バス用は2023年から、乗用車用は2025年から自動車メーカなどへ納入開始する。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

 

取り扱う検知センサーはミリ波レーダーセンサーで、乗用車用は「バイタセンス」、バス用は「ライダス」の製品名で展開する。2027年までにバイタセンスを年間30万台、ライダスを年間2000台、車両へ搭載を目指す。

 

 

2023年からバス用向け、2025年から乗用車向けを納入開始

 

近年、自動車内に取り残された子供が熱中症で死亡する事故が継続的に発生することが目立っている。これらは世界どこでも発生しており、原因として意図しない無意識の子供の置き忘れも5割以上に上ることも米国の団体の調査でわかっている。

 

 

こうしたことから欧米では事故を未然に防ぐ子供置き去り検知センサー導入の検討が進んでおり、法制化も始まっている。

 

これに対し、車内の乗員検知センサー大手のIEEは、2020年に乗用車向け子供置き去りセンサーのバイタセンスを世界に先駆けて開発し、市場投入した。バス向けのライダスは2020年から米国でスクールバス向けにすでに採用が始まっている。

 

 

IEEジャパンの高橋正輝カントリーマネージャーはミリ波レーダーを使った同社の子供置き去り防止センサーについて「カメラだた何か物にふさがれていると検知できないが、ミリ波レーダーは死角がなく、鮮明に検知できる」のが強みと述べた。また、バス用のライダスは後付けも可能とし、バイタセンスに先行して日本市場への導入を目指す。

 

 

国内法規に合致したミリ波レーダーセンサーを使い車内検知で死角なし

 

日本市場導入に当たり少し時間を要するのは、外部との通信環境が必要となるため。
バイタセンスはそれぞれの地域の使用可能な周波数にあわせ24、79、60GHz(ギガヘルツ)帯へ対応可能な製品を開発しているが、日本市場では60GHz帯を採用。ライダスは24GHz帯で展開する。

 

製品の販売目標について三洋貿易の平澤光康上級執行役員は「競合社もあり、ライダスは国内の保育園・幼稚園用スクールバス1万8千台の10%強を、乗用車用は年間100万台への搭載を前提に、その3分の1のシェアを目指す」と述べた。

 

 

三洋貿易は、旧三井物産の解体に伴い、同社神戸支社の有志により1947年に設立した複合専門商社で、自動車用のシート関連部品が主力の取り扱い製品だ。

 

 

新谷正伸社長は今後もモビリティ分野が主要な成長分野と強調し、2005年から国内代理店契約を結ぶIEEの子供置き去り防止センサーは車載センサー事業拡大の有望分野の一つに掲げる。さらに車内の乗員の健康状態などをチャックするバイタルセンサーなどの新規分野への進出も検討する。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。