プラスチックに添加して半永久的に帯電を防止する高分子量タイプの永久帯電防止剤「ペレスタット」・「ペレクトロン」シリーズを製造・販売する三洋化成工業は、需要拡大への対応のため、タイの関係会社サンヨーカセイ(タイランド)リミテッドのラヨーン工場(タイ・ラヨーン県)で、1,500トン/年規模の生産設備の建設に着手する。新製造設備は、2021年4月に稼働の予定。
静電気による障害(電子回路の破壊、電化製品の誤作動、ホコリの付着)や事故(火災、爆発)を防止する「ペレスタット」・「ペレクトロン」シリーズは、近年、電子機器・精密部品の包装・搬送材料用途を中心とした需要増に加え、防爆用途などへの用途も拡大していると云う。
三洋化成は、今後の需要拡大に対応すべく、生産能力を増強。現在、鹿島工場で生産しているが、タイでの生産体制を整えることで、生産拠点の複数化によるグローバルな安定供給体制を強化する。
今回の増強により同社グループの生産能力は約4,700トン/年となる予定。
[ペレスタット・ペレクトロンシリーズについて]
ペレスタット・ペレクトロンシリーズは、三洋化成独自の分散制御技術により、プラスチック内部に効果的に筋状の導電回路が形成できる高分子量タイプの永久帯電防止剤(「ペレクトロン」シリーズは低抵抗タイプ)で、導電性を高めることでプラスチックにたまる静電気を逃がし、帯電防止性を付与。
ほこり付着防止レベル(帯電後減衰する領域)から、電子機器・精密部品の包装・搬送用途や防爆用途のようにわずかな静電気でも問題とされるレベル(ほとんど帯電しない領域)まで、目的に応じて調整できる。
効果的に帯電防止性を付与できる同社の永久帯電防止剤は、引張強度などの樹脂物性をほとんど低下させず、また、高分子量タイプのためプラスチックから遊離・脱落することがないと云う。
そのため、半永久的に効果が持続するだけでなく、クリーン度を必要とする電子部品やメディカル用途に適しているとしている。
[サンヨーカセイ(タイランド)リミテッドの概要]
2001年3月に本格商業生産開始。本社をバンコク市に置き、ラヨーン県に工場を構え、界面活性剤、製紙用化学品、塗料・インキ用樹脂、自動車シート用ポリウレタンフォーム原料、繊維用化学品などの製造販売を行う。
2006年にはテクニカルサービスラボを設立し、顧客に向けた技術支援を行っている。将来的には、三洋化成グループの主力拠点となるよう、今後も積極的に投資を行きたいとしている。
■(三洋化成)プラスチック産業関連製品:https://www.sanyo-chemical.co.jp/products/main/main3.html