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2019年5月22日【自動車素材】

三洋化成、不快な振動を低減するシートクッション用原料開発

NEXT MOBILITY編集部

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三洋化成・HP

 

 

三洋化成工業は、乗り心地を向上する自動車シートクッション用原料「サンニックス KC-737」を開発した。

 

サンニックス KC-737は、三洋化成独自の生産プロセスにより開発したウレタン樹脂用ポリオール(多価アルコール)で、この開発品を用いたウレタンフォームで作られるシートクッションは、乗員に伝わる振動の中でも、人が不快と感じる6Hz付近の振動を低減。乗員の身体をしっかりと支え、長時間の着座後でもたわみにくいため、姿勢を維持でき、疲れにくく快適な走行を実現すると云う。

 

また、乗り心地を向上した自動車シートクッションは、次世代モビリティの自動車版モバイルワークステーション(乗員が車内で運転以外の他の作業も行えること)での活躍も期待できるとしている。

 

三洋化成・ロゴ

[開発の背景]

 

シートクッションにはウレタンフォームが使用されるが、このウレタンフォームはポリオールとイソシアネートを混合し、発泡させながら金型で成形して作られる。

 

三洋化成は、1960年代にウレタンフォームの原料であるポリオール(ポリプロピレングリコール)を日本で初めて生産。以来、蓄積してきた知見を活用し、今回乗り心地を向上させることができるポリオール「サンニックス KC-737」を開発した。

 

 

[技術の概要]

 

快適な乗り心地を得るためには、乗員に伝わる振動が少ないことが重要で、特に人が不快と感じる周波数である6Hz付近の振動を低減することが効果的だと云う。

 

この6Hz付近の振動を低減するには、シートクッションと道路や車体の振動が共鳴して増幅する周波数(共振周波数)を6Hzからずらす、あるいは、6Hzの振動伝達率を下げるといった2通りの手段がある。

 

それに加え、シートクッションは柔らか過ぎても硬すぎても疲労につながるため、座り心地の向上のためには、シートクッションに適度なクッション性を与え、長時間着座後のたわみを抑えることなども必要となる。

 

これらはいずれもウレタンフォームの高弾性化により実現が可能だが、そのためには、ポリオールをできるだけ高分子量にし、末端の水酸基とウレタン結合によりネットワークを形成させる必要がある。

 

しかし、従来主流であった製造方法では、副生物が生成することが原因で、高分子量化やネットワークが十分に形成できないという課題があった。

 

今回三洋化成は、ポリオール製造時の触媒や生産プロセスを見直すことによって、副生物の少ない高分子量ポリオール「サンニックス KC-737」の開発に成功。

 

三洋化成は、開発品を用いたシートクッションにおいて、従来品を用いたシートクッションと比較して、共振周波数および人が不快と感じる6Hz付近の振動伝達率を低減しつつ、たわみも抑えることを確認。

 

現在、自動車シートメーカー各社とアプリケーション開発を進め、また自動車メーカー各社に対しても素材を通した快適な乗り心地についての提案を行っている。

 

 

[今後の計画]

 

三洋化成では、将来、完全自動運転の実現により、ドライバーは、運転以外の作業を行う「モバイルワークステーション化」が可能になるとも言われていることから、乗り心地向上に対するニーズは、ますます高まると考え、今後、「サンニックス KC-737」を幅広く展開。

 

乗り心地向上に対するニーズに応えていくとともに、さまざまなニーズに対応するポリウレタンフォーム用原料の高機能化に注力するとしている。

 

 

[問い合わせ先]

 

三洋化成工業株式会社
メディア・IR部

電話:075-541-4312

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。