業界初のハードウェア構成とGUIソフトウェアにより開発工数を大幅削減
ロームグループのラピステクノロジーは11月9日、業界初となるxEV車(電動車)向けAVAS(車両接近通報装置)専用の音声合成LSI「ML22120xx」(ML22120TB、ML22120GP)を開発した。
「ML22120xx」は、通報音の生成機能やフェード機能、イコライザ機能からなる専用のハードウェアで構成されている。
また、専用GUI(Graphical User Interface/コンピューター画面での表示に図形や画像など使用してマウスやタッチパネルで操作できる機能)ソフトウェアを使用することで、AVASに必要な音量や周波数特性などの法規制(車両接近通報音の音量や特定の車速での周波数などがWP29により取り決められている)に対する適合が容易。
この新たな製品ラインナップは、ハードウェア構成のため、マイコン構成と比較してソフトウェアの検証が不要で、かつ開発にかかる時間を大幅に短縮できる。
加えて簡単なコマンドで制御できるため、通報音の立ち上げが通常のマイコンで生成する方式に比べて1/10以下の時間で行える。
その他、メインマイコンとの通信異常や外部部品による異常発振を検知する故障検知機能も備わっており、車載の信頼性に貢献する。
なお同AVAS専用の音声合成LSIは、2023年9月より当面月産10万個の体制で量産を開始(サンプル価格1,000円/個:税抜)。
ML22120TBならびに評価ボードのインターネット販売も開始しており、チップワンストップやコアスタッフオンラインなどから購入することができる。生産拠点は前工程がラピスセミコンダクタ宮城工場(宮城県)、後工程は ROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)となる。
製品開発の背景は、カーボンニュートラル(脱炭素)社会の実現に向けて、ハイブリッド車や電気自動車(EV)が増加していること。またこれらの車両はモーター駆動時に音がしないため、歩行者に接近を知らせる通報音が法令で規定されていることなどがある。
通報音をマイコンで生成する場合、音のピッチと音量を滑らかに制御し、車両形状に合わせた特性を調整する必要がある。このため、マイコンソフトウェア開発の負担が増大し、またマイコンの他のソフトウェア処理との検証も必要となる。
そこで、これらの課題に対してラピステクノロジーは音声合成LSIの実績と技術を活用し、高音質をハードウェア構成で実現することで、AVAS(車両接近通報装置)開発の負担軽減に貢献できる新製品を開発した。
<製品のラインアップ>
注)AEC-Q100に関しては要問い合わせ
<アプリケーション例>
AVAS(車両接近通報装置)、車外通報音(スライドドア開閉音、充電完了音)、など
<サポート>
下記公式Web上の音声合成LSI紹介ページにて、製品の概要を紹介している。
https://www.rohm.co.jp/lapis-tech/product/speech/ml22120
<評価ボード、GUIソフトウェア情報>
評価ボード「RB-D22120TB32」と専用GUI(Graphical User Interface)ソフトウェアをサウンドデバイスコントロールキット「SDCK3」で提供。音声データの生成から通報音の補正・試聴まで簡単に評価できる。
販売ネット商社:チップワンストップ、コアスタッフオンライン
「ML22120TB」ならびに評価ボードは、それ以外のネット商社からも順次発売していく。(販売開始時期:2023年10月から)