ロームがSiCパワーデバイスの生産能力強化のため、2019年2月からローム・アポロ筑後工場に建設していた新棟が完成、その竣工式を行ったと1月7日に発表した。
新棟は、さまざまな省エネルギー技術を用いた生産設備を導入すると共に、使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄う環境配慮型の最新工場で、各種災害対策も導入し、BCM(事業継続マネジメント)体制を強化した。
新工場には、2021年1月から順次、製造装置を設置。SiCパワーデバイスの中長期的な需要増加に対応できる生産体制を構築していくと云う。
ロームは、2010年にSiCパワーデバイス(SiC SBD、SiC MOSFET)の量産を開始して以来、世界で初めてフルSiCパワーモジュールやトレンチ構造を採用したSiC MOSFETの量産を開始するなど、技術開発を進めてきた。
また一方で、製造面においても一貫生産体制を構築し、ウエハの大口径化や最新設備による生産効率向上に取り組むと共に、モノづくりにおける環境負荷軽減を推進。
今回の新棟だけでなく、SiCウエハを製造するドイツのグループ会社「SiCrystal」の工場においても、次年度から再生可能エネルギー使用率100%での稼働を予定しており、同工場での購入電力由来のCO2排出量はゼロに。これにより、SiCウエハの主要な生産工程は、すべて再生可能エネルギーを利用した環境配慮型の生産体制となると云う。
[ローム・アポロの新棟概要]
– 構造:地上5階
– 竣工:2020年12月
– 稼動予定:2022年
– 住所:(筑後工場)福岡県筑後市大字上北島883
<新棟の特長>
新棟は、排熱を有効活用した高効率の空調設備や純水製造設備、LED照明の導入などで省エネルギー化に努め、従来設備と比較してCO2排出量を20%(約7,000t分)低減。さらに付帯エリアも含めた免震構造の採用による地震対策のほか、浸水対策、ガス消火設備、非常用発電機などを導入しており、各種災害に備えた工場となっている。
ロームグループのモノづくりにおける環境への取り組み
ロームグループでは、ISO 14001環境マネジメントシステムを運用する工場での生産を通じて、地球環境への負荷(化学物質、廃棄物等)を最小限に抑制し、循環型経営を追求。
また、地球温暖化の防止に向けて、排出される温室効果ガスを削減するため、スマートファクトリー化や再生可能エネルギーの使用など、地球環境負荷を軽減する仕組み・生産技術の構築を進め、ローム・アポロ筑後工場においても、2019年度から再生可能エネルギーを導入し、段階的に電力量を引き上げてきた。
ロームグループは、今後も電気自動車や産業機器における省エネルギー化のキーデバイスとして期待されるSiCパワーデバイスの性能向上に努めると共に、その生産工程においても環境に配慮した設備や再生可能エネルギーの導入を進めることで、環境負荷の軽減に貢献していくとしている。
■ローム・アポロ:https://micro.rohm.com/jp/apollo/