リコーインダストリアルソリューションズは10月7日、豊田自動織機と共同で、産業車両業界向けのフォークリフト用ステレオカメラを開発したと発表した。
開発の背景
人と物が混在するフォークリフトの作業現場に於いて、昨今、車両と人・物の接触事故の発生を抑制するため、フォークリフト作業における安全性向上に対するニーズが高まっていると云う。
そんな中で、リコーインダストリアルソリューションズは、車載ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)用ステレオカメラで培った独自の光学設計技術、キャリブレーション技術、リアルタイム視差演算技術を、フォークリフト用ステレオカメラに転用。フォークリフトの複雑な作業環境下で、周辺の障害物の中から人、物を立体的にとらえ、高精度に検知することを可能とした。
新開発のフォークリフト用ステレオカメラを搭載した「SEnS(*1)」は、検知エリア内の障害物の中から人を見分けて、通知ブザーと通知ランプでオペレーターに接近を知らせる安全運転支援システムとして、今年5月から豊田自動織機のトヨタL&F取扱店(全国40社)を通じて販売。8月には新たに車両と連動し、走行速度や発進を制御する機能を加えた、後方作業者検知運転支援システム「SEnS+(センスプラス/*2)」が発売された。
製品の特長
開発品では、広角化技術により水平角130°という広範囲の検知を実現したほか、3次元ベースの認識技術により、従来の作業者にタグを携帯させて検知する方式とは異なり、不特定多数の人に対してタグ携帯なしでも検知が可能。
また、厳しい使用環境にあるフォークリフトの現場に於いても動作可能な高い耐環境性能(IP67/*3)を有しており、さらに、画像処理・電源機能をカメラ内に実装することで小型・ワンパッケージ化を実現し、取り付けや運用も容易に、既に稼働しているフォークリフトへの装着も可能だと云う。
SDGsへの貢献
リコーインダストリアルソリューションズは、オペレーターならびに周辺環境の安全性を向上させるため、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の「#3:すべての人に健康と福祉を」および「#11:住み続けられるまちづくりを」の推進支援を念頭に、様々な障害物を検知・回避するための光学技術や視差演算技術などを活用し、このフォークリフト用ステレオカメラを開発したと云う。
また、今後もニーズが拡大・高度化する先進運転支援システム分野にとどまらず、産業車両、建設機械に向けてステレオカメラを提供すると共に、取得した三次元立体情報を活用することで、働く現場を可視化し、リコーグループが将来の価値と位置付けたデジタルサービスを提供することで、安心・安全な社会の実現に貢献していくとしている。
*1)SEnS:Smart Eye Sensor。
*2)SEnS+:Smart Eye Sensor Plus コンパクト電動フォークリフト「Ecore(エコア)」のオプションとして発売。
*3)IP67:IEC(国際電気標準会議)、およびJIS(日本工業規格)で定めている電気機器内への塵や水などの異物侵入に対する保護等級のうちの1つ。
■(リコー)産業用ステレオカメラ:https://industry.ricoh.com/automotive/industrial-stereo-camera/