ルネサス・エレクトロニクスは4月19日、生産子会社であるルネサス・セミコンダクタ・マニュファクチュアリングの那珂工場(茨城県ひたちなか市)のN3棟の一部で発生した火災(3月19日)について、3度目の会見を行った。
マスコミ・証券アナリストを対象に行われた説明会では、4月17日の午前9時に、N3棟において災発生前対比で10%弱の生産能力で生産を再開し、今週中に30%、今月中に50%、そして5月中には100%の生産能力に復帰させる目標であることなど、生産・出荷の見通し等が説明された。
[会見の主な内容]
生産再開タイムライン
4月17日(土)午前9時、N3棟の生産を開始。4月17日時点で、火災発生前対比で10%弱の生産能力で生産を再開した。生産能力は、今週中に30%、今月中に50%、そして5月中には100%の復帰させる目標。
生産および出荷の状況
N3棟の生産品の出荷については、火災発生時に生産中であった仕掛品の出荷を開始することで、段階的に火災発生前の水準に復帰させていく。復帰状況は、製品によって異なるが、代表的な生産リードタイムの製品においては、現時点では、火災前の製品出荷水準には「100日前後」から1週間~10日間後ろ倒しで達成できる見込み(3月30日会見時は、火災発生から100日前後のタイミングで火災前の製品出荷量の100%に達する見込みとしていた)。
一方の代替生産については、前回の説明以上に早く、量も多く生産に寄与できる見込み。
製造装置調達
火災により焼損した23台の製造装置の内、17台については4月中の調達に概ね目途が立った。また、1台は5月中の調達目途が立っており、1台は納期を調整中。残り4台の装置については、調達予定の装置が既存装置より能力が増強できるものがあること、代替先での生産の目途が立ったことで、当面不要となり、短期的には100%の生産能力に回復できることを見込んでいる。
但し、長期的な能力の維持・向上に向けては、これら4台の装置を調達する必要があるため、今後も引き続き製造装置メーカーと協力しながら調達を進めていく。
代替生産についての見通し
N3棟の生産量の2か月分を代替生産する場合について、外部で生産可能な製品は、生産の前倒しや能力の増強等により、現状では98%まで(3月30日時点では90%)改善できる見通しが付いた。
火元装置の火災対策
火元は、Cuめっき装置であることが判明している。火災前に計7台あったこの装置は、火元となったものを含めて3台が焼損。現在、4台が残存しているが、これらは、火元となった装置とは異なる電源配線構造が採用されている。よって、これら4台については今回と同原因での発火の可能性は想定していない。
万が一、今回とは異なる要因で発火が起こった場合の対策として、CO2消火器および自動ダンパ―を既に設置。5月には、煙や熱を検知するセンサの設置も進め、さらに6月には、これらセンサと連動して、CO2消火材を自動放出できる仕組みを導入する。これにより、もし火災が起こったとしても、今回と比べて小さい範囲で延焼を食い止めることができると考えている。
[会見の概要]
– 会見日時:2021年4月19日(月)午後2時~3時
– 会見出席者:
・ルネサス・エレクトロニクス 代表取締役社長兼CEO 柴田 英利氏
・ルネサス・エレクトロニクス 執行役員常務兼生産本部長 野崎 雅彦氏
・ルネサス・エレクトロニクス 執行役員兼CFO 新開 崇平氏