ルネサス・エレクトロニクスは3月21日、生産子会社であるルネサス・セミコンダクタ・マニュファクチュアリングの那珂工場(茨城県ひたちなか市)のN3棟一部工程で3月19日に発生した火災についての会見を行い、経緯や原因、今後の見通しなどを説明した。
火災の概要と被害状況
火災は、3月19日の午前2時47分、那珂工場のN3棟(300㎜ライン)の一部工程で発生し、同午前8時12分頃に鎮火された。翌3月20日には、警察および消防による現場検証が行われ、出火元は、N3棟1階のめっき装置と特定された。
出火元となっためっき装置の筐体およびめっき槽は、熱への強度が相対的に低かったため、過電流発生により発火に至った。但し、過電流の発生原因や発火に至った経緯については、現在調査中。この火災による人的被害および工場建屋への被害はなかったが、純水供給装置や空調装置など一部用役設備および、一部製造装置に被害が出た。
具体的には、N3棟1階のクリーンルーム12,000㎡のうち約5%に相当する600㎡が焼損したほか、N3棟の全製造装置のうち約2%に相当する11台が焼損した。なお、仕掛品の被害状況については、現時点で不明。今後約1週間をかけて確認するとしている。
生産・出荷の状況
那珂工場では現在、N2棟(200㎜ライン)とWT棟(ウェハテストライン)を稼働し、製品出荷を継続しているが、N3棟での生産は停止。今後、N3棟については、取引先や製造装置メーカーなど関係各社の協力を得ながら、クリーンルーム内の清掃や焼損装置調達などを進め、1か月以内の生産再開を目指す。なお、N3棟の2階部分への火災の影響はないが、1階と一体運営をしているため、同棟での生産品目の生産・出荷は不可とのこと。
代替生産の予定
N3棟の生産品のうち約2/3は、技術的には自社工場やファウンドリでの代替生産も可能ではあるが、昨今の半導体需給の逼迫状況から、全てを即時に代替生産することは難しい。可能な限り早く、また、少しでも多くの製品で代替生産を進められるよう検討する。
業績への影響
N3棟が生産を停止することによる売上影響は、月当たり約170億円。詳細については現在精査中のため、判明次第告知する。ルネサス・エレクトロニクスは、引き続き、消防、警察をはじめとした関係当局と協力し、徹底した原因究明を行い、再発防止に取り組んでいくとしている。
[会見の概要]
– 会見日時:3月21日(日)午後2時~3時
– 会見出席者:
・ルネサス エレクトロニクス代表取締役社長兼CEO 柴田 英利
・ルネサス エレクトロニクス執行役員常務兼生産本部長 野崎 雅彦
・ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング代表取締役社長 小澤 英彦
■ルネサス・エレクトロニクス:https://www.renesas.com/us/ja