ルネサス・エレクトロニクスは3月30日、生産子会社であるルネサス・セミコンダクタ・マニュファクチュアリングの那珂工場(茨城県ひたちなか市)のN3棟の一部で発生した火災(3月19日午前2時47分)について、2度目の会見を行った。
マスコミ・証券アナリストを対象に行われた「那珂工場火災発生に関する説明会」では、生産再開に向けた最新のスケジュールと取り組み内容等が説明された。
[会見の主な内容]
火災原因解明の進捗
3月21日の出火元装置メーカーによる調査と3月23日の同メーカー外部専門家による詳細な調査、そして3月25日の消防(再訪)による見分の結果、現時点においては、めっき装置の発火原因は特定できておらず、引き続き調査中。
被害および復旧状況
現在、顧客や製造装置メーカー、取引先、建設会社など、社外からの多くの支援を受けつつ、クリーンルームの復旧を急いでいる。具体的には、ハリ補強が3月29日に完了。また、使用するフィルタなどの部材の調達や、すす等の洗浄も概ね順調に進捗していることから、復旧は、4月中旬頃を予定。
なお、N3棟で生産中であった仕掛品については、3/4程度が無事で、生産の継続が可能。また、N3の1階にある製造装置への火災影響については、全体の90%強の確認が完了した結果、これまで判明している11台に加え、追加で12台の装置が焼損していたことが判明したが、これら計23台の内、約半数の11台については、4月中に調達できる見込み。
一方で、現時点で6月以降に調達がずれ込む想定の装置も一部あり、調達時期を可能な限り前倒しすべく、装置メーカーと協議している。
生産・出荷の状況
N3棟のクリーンルームの復旧を4月中旬に完了し、当初の予定通り、火災発生から1か月以内に生産再開することを目指している。
生産再開については、製品によって異なるが、代表的な生産リードタイムの製品の事例では、4月末までに必要となる製造装置の調達を完了した場合、火災発生から約60日後にはN3棟1階に残存した仕掛品から製品出荷を開始。そして、約90日後にはN3棟2階に残存した仕掛品の製品出荷を開始し、火災から100日前後のタイミングで、火災前の製品出荷量の100%に達する見込み。
ただし、これは4月末までに必要な製造装置の調達を完了することを前提としており、その時期がずれ込むと、火災前の製品出荷量の100%に達するタイミングも後ろ倒しとなる見通し。
代替生産の予定
N3棟の生産品の内、約2/3が技術的には内製および外部での代替生産が可能。仮にN3棟の生産量の1.5か月分を代替生産する場合には、外部で生産可能な製品については、100%生産の見通しが立っている。
また内製可能な製品については、82%を生産できる見込み。また、N3棟の生産量の2か月分を代替生産する場合は、外部で生産可能な製品については90%、内製可能な製品は、73%を生産できる見込み。
業績への影響
N3棟が生産を停止することによる売上影響は、月当たり約170億円と公表していたが、別の生産ラインでの生産も含んでいたため、月当たり約130億円に訂正。この金額に、火災影響と最終製品在庫約20億円を考慮に入れ、N3棟の生産能力が100%に回復するまでに仮に1.5か月かかった場合は約175億円、2か月かかった場合は約240億円の売上影響となる。
さらに、売上減による限界利益減が、売上影響額に対して約60%に相当する金額となり、これに加えて、在庫滅却や固定資産減損、修繕費も発生する見込み。また、設備投資として、火災の影響を受けた製造装置の調達費用も発生するが、詳細は現在精査中のため、判明次第告知する。
[会見の概要]
– 会見日時:2021年3月30日(火)午後2時~3時20分
– 会見出席者:
・ルネサス・エレクトロニクス代表取締役社長兼CEO 柴田 英利氏
・ルネサス・エレクトロニクス執行役員常務兼生産本部長 野崎 雅彦氏
・ルネサス・エレクトロニクス執行役員兼CFO 新開 崇平氏
■ルネサス・エレクトロニクス:https://www.renesas.com/us/ja