そうしたなか同社は、攻めの成長戦略をさらに実行する意欲に今も溢れており、これまでも2017年2月にIntersil Corporation(以下、インターシル)の買収を完了。これによってパワーマネジメントICや、高精度アナログ製品を自らのポートフォリオに取り込み、既存製品と組み合わせたソリューション力を伸張。これによる成長の重複を繰り返してきた。
そんな同社は、IDTが持つ広範なアナログ・ミックスドシグナル製品と、自社のマイコン/SoC およびパワーマネジメント IC との組み合わせによって、産業界から求められている情報処理要求に対して、補完性が高く網羅的なソリューションの提供を今後も行っていく意向であり、これらを通して自動車分野を筆頭にソリューション提供力の強化を、さらに1段に高めていく構えだ。
より具体的にルネサスは、データセンターや通信インフラ向けなど成長著しいデータエコノミー関連分野へ事業領域の拡大を目指すと共に、産業・自動車分野でのポジション強化を今後もさらに推し進めていく。
一方、今買収が財務上でルネサスにもたらすメリットも大きい。買収早々には、Non-GAAP ベースの売上高総利益率で1.6%ポイントを改善。さらにNonGAAPベースの 1 株当たり純利益(EPS)が18%向上するからだ。
もちろん販売機会の拡大を介して、短・長期の売上成長も達成する。これらについては、規模の拡大に伴うコストの効率化が拍車が掛かり、現段階でも合計約275 億円(1 米ドル 110 円換算で250百万米ドル、Non-GAAP ベースの営業利益の年間ランレート)程度の統合効果が見込まれている。