試作板金加工などを手掛けるラピートは、「人とくるまのテクノロジー展2019横浜(5月22日~5月24日・パシフィコ横浜)」に出展し、次世代カーボン素材として注目されている熱可塑性樹脂複合材料のCFRTP製ホイールを展示。比較的製造しやすいプレス圧縮成形が可能で、一般的なアルミ製と比べ大幅な軽量化を実現することなどをアピールした。
軽量で高い剛性を誇るカーボン素材は、自動車や航空機などの部品をはじめ、様々な製品の素材として使われている材料だ。
だが、従来から使われている熱硬化型のCFRPは、製造する際に窯などを使う必要があり加工が複雑で量産しにくく、コストも高くなるなどの課題がある。
そのため、特に自動車分野では、レース車両や少量生産の高級車向けなどを除き、あまり一般的ではないというのが現状だ。
そこで、近年注目されているのが熱可塑性樹脂のCFRTP。常温保存が可能で、量産性に優れ、後加工が容易、リサイクルが可能といった特徴を持ち、製造コストも比較的安くできるというメリットがあるためだ。
今回、ラピートが展示したホイールも、そのCFRTPを材料としたもの。同社は、トヨタ紡織の委託を受け、CFRTP素材で製造したレクサスLS500用後部シート(VIPシート)のプロトタイプを製作するなど、CFRTP加工に関するノウハウや知見を持つ企業だ。
その同社が今回展示したCFRTP製ホイールは、CFRTPを金型に入れ金属用プレス圧縮機で一発成形したもの。CFRPと比べ、遥かに製造工程が少なく、加工時間が短くすんでいる。
また、同サイズ同デザインのアルミ製16インチホイール(写真右)が重量7416gなのに対し、CFRTP製(写真左)は3968gと46%もの軽量化も実現。
強度的にも、アフターホイールの規格JWLで必要とする要件をクリアしているため、市販されているアフター市場のホイールと同等の剛性を確保している。
今後、同社ではまずこのホイールをアフターマーケット関連企業へOEM供給する予定だが、将来的には自動車メーカーに提案し、新型車の純正部品としての採用も目指していく。
近年、自動車分野では、ガソリン車の燃費向上や、EVやHEVの航続距離を伸ばすなどの課題解決のため、部品のさらなる軽量化が望まれている。従って、材料のコスト面などがクリアになれば、CFRTP製ホイールの純正部品化もあながちない話ではないと言える。カーボン製ホイールがより一般的になる時代が到来するかもしれない。