プロテリアル (旧:日立金属)は7月24日、シミュレーションにてネオジム磁石モーターと同等の出力が得られることを確認していた(昨年12月公表)、電気自動車(xEV)駆動用“フェライト磁石モーター”について、実機を試作して評価をした結果、xEVに適用可能な100kWを超える出力が得られることを確認したと発表した。背景
脱炭素社会実現のため、自動車生産台数に占めるxEVの比率は、今後さらに高まることが見込まれており、これに伴いxEVの駆動モーターや発電機に使用されるネオジム磁石の生産量拡大が見込まれている。
一方、ネオジム磁石はレアアースの内、軽希土類に分類されるネオジムのほか、特に資源量が限られる重希土類のジスプロシウムやテルビウムなどが使用されることから、需要の拡大に伴う、資源リスクが高まることが懸念されていると云う。
こうした中、プロテリアル・グローバル技術革新センター(GRIT)では、xEV用駆動モーターにフェライト磁石が適用できることをシミュレーションで確認し、昨年12月に公表。この発表は、国内外から非常に大きな反響を呼び、実機での検証を望む声が多く寄せられていたと云う。
概要
プロテリアルでは、xEV駆動用のネオジム磁石モーターを比較基準としたシミュレーション結果(表参照)に基づいて設計・製作した自社の高性能フェライト磁石である「NMF-15」を素材としたローター(タイトル写真)を用いたモーターを試作し、性能評価を実施。
その結果、シミュレーション結果よりは僅に劣るものの、これから主流になっていくことが予想されるBEVやPHEVの駆動モーターに適用可能な、100kWを超える出力が得られることを確認。フェライト磁石はネオジム磁石よりも電気抵抗が高いことから、モーター高速回転時の渦電流損失抑制にも寄与すると云う。
プロテリアルは、今後、シミュレーション結果と実機試験結果の差異を検証し、さらなるモーター性能向上の可能性を検討。資源リスクの軽減やコストの抑制といった顧客の課題を解決するため、今回の実機試験の結果を示しながら、これまでネオジム磁石が採用されてきた各種用途の代替品の一つとしてフェライト磁石の活用を提案していくとしている。
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