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住友ゴム工業は12月8日、新たに開発したゴムの実用化に向け、京都大学(竹脇・藤田研究室)と共同研究を行うことで合意した。このゴムはハリマ化成グループと共同開発した高層ビルの制振ダンパーなどに使用される高減衰ゴムである。
住友ゴムはハリマ化成グループと協力し、ロジン樹脂(松やにを原料とした樹脂)を使用した高減衰ゴムの性能向上に取り組んでいる。振動や揺れを熱エネルギーに変換するという制振ダンパーに使用される高減衰ゴムの性能向上にロジン樹脂が寄与することは従来から分かっており、今回シリカとの相互作用を高めた特殊変性ロジンを配合した新たな高減衰ゴムを開発に成功した(特許出願中)。住友ゴムによる実験結果では、エネルギーの吸収量が約42%向上(同社従来品比)したとのことだ。
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ロジンイメージ図(画像提供:ハリマ化成グループ株式会社)
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ビルに設置された制振ダンパーのイメージ図(赤色が制振ダンパー)
京都大学(竹脇・藤田研究室)は、従来から住友ゴムと制振ダンパーに関する共同研究を行っており、今回開発したゴムを用いた制振ダンパーの地震や風揺れに対する振動低減・抑制効果を解析することになっている。商品化は来年以降を予定している。
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揺れによる変形量と応力(物体が外から力を受けた時、物体の内部に発生する力)の関係を示すグラフ(イメージ)
地震や風揺れによる変形量に対する応力の大きさを測定した実験結果を示したグラフ(イメージ)。同社従来品に比べ、エネルギーの吸収量が増加していることが分かる。