アルミニウム素材の採用促進を推し進める団体、AluMobilityは4月9日(スイス・チューリヒ発)、ポルシェと共同で同社のタイカンの既存のスチール混合材料ボディ構造を、全アルミニウム製に変換することに焦点を当てた理論的なケーススタディを行ったことを明らかにした。
このAluMobilityは、主要なアルミニウム関連企業および技術パートナーから非営利団体で、自動車用アルミニウムボディシート (ABS) の採用を促進するための技術研究のために設立されたとしている。
今回の両者による実験で、既存のタイカンのスチール混合材料ボディと比較して、約40%の重量削減がもたらされることを示唆。同プロジェクトは更にアルミニウムを多用した車両が部品数、接合タイプ、総接合数を削減することで製造効率を向上させることも実証。加えてリサイクルされたアルミニウムの使用した場合は、鉄鋼の基準と比較してCO2の生涯排出量が削減されることも判明したと述べている。
なお、同実証内容は、来たる4月23日に、米国ミシガン州ロチェスターで開催される催事「Car Body Xperienceカンファレンス」で披露されるとした。当日はポルシェと共に、AluMobilityテクニカルディレクターのマーク・ホワイト教授と、同研究開発部門ディレクターであるイェンス・クリスライン氏、並びにイング博士に加わり、研究の範囲とその結果を発表する。
この試みについてポルシェAG・R&D Body in Whiteディレクターのイェンス・クリスライン氏は、「私たちポルシェにとって、軽量構造に関する最先端の技術業界の意見を得ることができるのは大きなメリットです。AluMobilityとの今回の実証は、当社の車を更に最適化するために役立つ多くの興味深いベンチマークを提供してくれました」と述べた。
対して先のホワイト教授は、「私たちの目的は、タイカン トップハットを全アルミニウムに変換することで、性能、安全性、外観を犠牲にすることなく重量、CO2排出量、複雑性を削減できることを実証することであり、私たちはその目標を達成しました。
ポルシェのようなパートナーと協力できたことは、アルミニウムがモビリティの未来にいかに選ばれる素材であるかを示す我々の使命を前進させるための素晴らしい一歩となりました。
Car Body Xperienceカンファレンスで、この包括的な研究の結果を世界中の自動車設計および製造エンジニアの聴衆に発表することは、AluMobilityにとって業界の知識を自動車業界と共有し、重量と排出ガスの削減という主要な課題に対処する素晴らしい機会となります 」と語っている。