パイオニアの連結子会社であるパイオニアスマートセンシングイノベーションズ(以下、PSSI/※1)は1月20日、3D-LiDAR「1st Model(※2)」の中距離タイプ(Medium Range)の量産を、1月中旬に開始したと発表した。
「1st Model」は、パイオニアが培ってきた光ディスクプレーヤー等のレーザー関連技術やカーナビゲーション等車載製品の開発・製造ノウハウに、キヤノンの光学レンズ技術を融合して開発された、MEMSミラー(※3)と同軸光学系方式を採用するソリッドステートタイプの3D-LiDAR。高速に高精細な点群データの取得が可能なため、障害物等の検知が高精度にできると云う。
今回量産が開始される中距離タイプは、120m先までの対象物(※4)の検出が可能。路側の固定設備などへの設置により、より遠方の障害物や異物、侵入者を検出するモニタリングやセキュリティ用途等への活用、また車載においては、前方かつ遠方の障害物検知に加え、既発売の「1st Model」近距離タイプ(Short Range)と組み合わせることで、車両周囲の検知等への活用もできる。
また、国内拠点(埼玉県:川越事業所)で、一貫した生産・品質管理を行い、高品質かつ安定した供給、サポートを実現したほか、パイオニアが開発する「ノイズ除去」「物体検知・認識・トラッキング」等のソフトウェアと組み合わせた「物体検知・認識・トラッキング」「3次元データ生成・変化点抽出」ソリューションとしても提供される。
PSSIは、3D-LiDARのラインアップを充実させるとともに、ソフトウェアと組み合わせたソリューションを提案することで、より安全・安心な社会の実現に貢献するとしている。
[中距離タイプの主な特長]
・近距離タイプ「SSL-S01」に対して約2倍の検出距離を実現(※3)。
・MEMSミラーを採用したソリッドステートタイプで小型化を実現。
・高速スキャンで高密度・高精細な点群データの取得が可能。
・独自のソフトウェアとの組み合わせにより、高精度な物体検知・認識が可能。
・国内生産ならではの高品質。
[活用事例]
①セキュリティ/モニタリング用途
・路側設置による交通状況監視、高速道路での合流支援。
・商業施設などにおける侵入者検出。
②車載用途(自動運転/ADAS向け)
・車両前方かつ遠方の障害物検知。
・近距離タイプ(Short Range)との組み合わせによる車両周囲検知(右左折、直進時の危険回避用)。
※1)PSSI:2019年、パイオニアの自動運転関連事業を承継する新会社として設立され、低コストかつ小型で高性能なMEMSミラー・ラスタースキャン方式の3D-LiDARを開発・生産。また、同センサーを活用したソフトウェアの開発・提供を行っている。
※2:発表時(2019年12月19日)に「2020モデル」としていた3D-LiDARの名称を「1st Model」に変更。
※3)MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):微小電気機械システム。
※4:検出距離は、検出時の環境により変わる。
[主な仕様]
■パイオニアスマートセンシングイノベーションズ:http://autonomousdriving.pioneer/ja/