パイオニアスマートセンシングイノベーションズは12月10日、(以下、PSSI)は、2020年11月下旬より 3D-LiDAR「1st Model」(※1)の近距離タイプ(Short Range)の量産を開始したことを発表した。
(※1)2019年12月19日の発表時に「2020モデル」としていた3D-LiDARの名称を、「1st Model」に変更した。
今回、量産および出荷を開始した「1st Model」は、長年にわたりパイオニアが培ってきた光ディスクプレーヤーなどのレーザー関連技術やカーナビゲーションをはじめとする車載製品の開発・製造ノウハウと、キヤノンが保有する光学レンズ技術を融合し、高性能かつコンパクトサイズを実現している。
MEMS ミラー(※2)と同軸光学系方式を採用したソリッドステートタイプの本機は、高速スキャニングで高精細な点群データを取得することができ、スキャニング範囲内の障害物を高い精度で検知することができる。
(※2)MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):微小電気機械システム
自動運転バスや中低速モビリティにおいて、前方および死角の歩行者、自転車などを高精度に検知できるほか、道路の固定設備やセキュリティモニタリング用のセンサーとして、プライバシーに配慮しつつ障害物や異物、侵入者などを高い精度で検出する。
さらに、ハードウェア(3D-LiDAR)とともに開発している「ノイズ除去」「物体検知・認識・トラッキング」などのソフトウェアと組み合わせ、「物体検知・認識・トラッキング」「3 次元データ生成・変化点抽出」ソリューションとして提供することができる。
パイオニアの国内開発・生産拠点(埼玉県:川越事業所)において本機の生産、品質管理を一貫して行い、高品質とともに、安定した商品供給および商品サポートを実現しているという。
■主な特長
(1)MEMS ミラーを採用したソリッドステートタイプで小型化を実現
1つのレーザーダイオードと1つの受光素子で構成するMEMSミラー方式と同軸光学系方式の採用により、部品点数を削減し、小型化(775cc)を実現した。2021年1月に量産開始を予定している中距離タイプの 3DLiDAR(Medium Range)との組み合わせにより、多様なニーズに対応することができる。
(2)高速スキャンで高密度・高精細な点群データの取得が可能
MEMSミラーを用いたラスタースキャン方式の採用により、スキャニング範囲を高速で隙間なく、高い解像度で検知し、高密度・高精細な点群データを取得することができる。
(3)独自のソフトウェアとの組み合わせにより、高精度な物体検知・認識が可能
本機で取得した高密度かつ高精細な点群データを、パイオニアの光学技術・信号処理技術を用いた独自のソフトウェアと組み合わせて処理することにより、反射強度の弱い物体の検知・認識に加え、雨天時や降雪時などの環境においても高精度な検知・認識が可能。
(4)国内生産ならではの高品質
車載機器の国内開発・生産拠点であるパイオニアの川越事業所に、3D-LiDAR専用の生産ラインを新たに設け、生産から品質管理までを一貫して行う。国内生産拠点において、車載向けの厳しい品質要件をクリアすることで、高品質とともに安定した商品供給および商品サポートを実現する。
■主な仕様
– Short Range Type
・型番:SSL-S01
・スキャン方式:MEMSミラーによるラスタースキャン方式
・送受信方式:シングルLD、シングルAPDによる同軸光学系方式
・レーザー波長:Class1準拠905nmレーザー
・画角:水平60°×垂直30°
・解像度:水平76×垂直76
・フレームレート:24fps
・検出距離:人物 Up to 40m/車両 Up to 70m
・サイズ(W×D×H):129.5×110.6×88.6mm
– Medium Range Type(2021年1月量産開始予定)
・型番:SSL-M01
・スキャン方式:MEMSミラーによるラスタースキャン方式
・送受信方式:シングルLD、シングルAPDによる同軸光学系方式
・レーザー波長:Class1準拠905nmレーザー
・画角:水平30°×垂直15°
・解像度:水平76×垂直76
・フレームレート:24fps
・検出距離:人物 Up to 80m/車両 Up to 120m
・サイズ(W×D×H):129.5×205.2×88.6mm