パナソニックとAZAPAは、4月10日、両社がこれまで小型EV向け電動パワートレインの開発で培ってきたモデルベース開発(※1)の協業関係を更に深化・拡大させるため、資本業務提携したことを発表した。
近年の自動車開発では、電動化への対応や先進運転支援システム(ADAS)の搭載など、高機能化と多機能化が求められている。
車両全体の性能最適化を実現する為には、複数のシステムを相互に協調・制御することが必要で、設計・性能評価のプロセスは以前にも増して複雑化。
そのため、試作を繰り返す従来の設計・性能評価では開発工数が肥大化し、試作をシミュレーションに置き換えるモデルベース開発の活用が、非常に重要となる。
パナソニックとAZAPAは、仕様検討段階からモデルベース技術を活用し、設計の完成度を高め、後工程での手戻り削減・車載システムの性能向上に取り組んできた。
両社は、2015年から小型EV向け電動パワートレイン開発で協業、モデルベース開発導入によって高い性能を確保しつつ、開発期間短縮を実現。
今回の資本業務提携により中長期的なビジョンを共有し、開発に共に取り組むことで、電動パワートレイン分野の協業深化に加え、協業範囲をコックピットやADASの分野にまで拡大し、ドライバーや同乗者の状態を検知し快適なドライブを提供する車室内空間や、高度な運転者支援を実現する先進機能の開発を加速していくとしている。
両社は、パナソニックの車載分野におけるコンポーネント開発技術やモノづくり力と、AZAPAの持つモデルベース開発や、車両全体をシミュレーションする知見、人間の感性を数値化する技術(※2)を持ち寄り、両社は、カーメーカーをはじめとする顧客に対し、電動化、コックピット、ADAS等の領域で新たなシステム価値創出を実現するとコメントしている。
※1「モデルベース開発」: モデルとは、実験からの統計データや物理現象を、シミュレーション可能な数式やアルゴリズムで記述したもの。
モデルを用いたバーチャル試作による製品開発手法をモデルベース開発と呼び、実機試作を極力行わずに精度の高い検証が行える為、試作以降の手戻りロス減少による効率的かつ高品質な製品開発が可能となる。
※2「感性を数値化する技術」: ドライバーの外界の刺激に応じた感受能力を解析し、アクセル、ブレーキ、操舵につながる運転行動を予測するアルゴリズムを生成する技術。
このアルゴリズムをシミュレーションに組み込む事により、例えばADASなどの機能検証環境の効率的な構築が期待されている。