パナソニックは7月31日、2020年3月期第1四半期(2019年4~6月)連結決算を発表した。それによると、売上高が1兆8911億円(前年同期比5.9%減)、営業利益が563億円(同43.6%減)、当期純利益が497億円(同13.2%減)と減収減益だった。
米中貿易摩擦による中国での減販などが影響して減収となり、それに伴う減販損や車載機器の開発費増加、テレビ事業の苦戦などの影響で減益となった。特に厳しかったのが “再挑戦事業”と位置づけている車載電池を含むオートモーティブだ。
売上高が6%増の3773億円だったものの、営業利益が前年同期の15億円の赤字から100億円の赤字と悪化してしまった。その要因について、会見に臨んだ梅田博和CFOは「これは地域的に言ったら欧州で、すでに受注している車載機器の開発が2019年度ピークに来ていることから減益になってしまった」と説明し、「日系メーカーとのグローバルな取引においては順調に推移しており、今後は日系メーカーに重点を置いて行くことになると思う」と付け加えた。欧州メーカーとの取引が懲りた様子だ。
決算会見のたびに質問が飛んでいるテスラ事業については依然厳しい状態が続いており、この第1四半期も赤字になっている。「すでに2018年度までに35GW(ギガワット)の生産ラインの納入は完了しているが、まだすべて立ち上がっていない。その立ち上げコストがかかっている点と、生産ロスがまだ多いのが要因となっている。ただ、『モデル3』向けの電池は確実に増販益が出ており、日本で生産している『モデルX』と『モデルS』向けの電池が落ちてきて、そのために前年並みの赤字になってしまった」と梅田CFOは説明する。
また、電気自動車(EV)については、大きな流れとして成長していくが、市場環境の変化によって施策に修正が必要との見解を示した。というのも、中国で政策の変更によってハイブリッド車が脚光を浴びつつあるからだ。「EVとハイブリッド車で求められる角形電池の容量は大きく異なる。この角形電池については、トヨタ自動車との連携によって両方のニーズに対応していくことになる」
こう話す梅田CFOは今後の車載電池事業について「収益性の改善に向けて、地域、顧客、製品など、集中する領域の明確化を進めていく。角形については、事業競争力強化に向け、中国の大連や姫路工場への増産投資を予定通り実施する。円筒形については、北米工場での生産性向上により収益改善を図る」と強調した。
このようにパナソニックの車載事業は、まだまだ解決しなければならない課題も多く、またCASEへの投資もかさむことから、なかなか黒字化定着への光が見えてこないと言ったところだろう。(経済ジャーナリスト・山田 清志)