今回発表された技術は、パナソニックの有する電池技術に、電池を充放電させながらその場で電子顕微鏡観察するファインセラミックスセンターが有するオペランド観察技術を応用。
これにより、電池を充放電させながら、電子が試料内部を透過する際に失ったエネルギーを計測し、材料中の元素や電子状態を分析できるEELS(電子エネルギー損失分光法)という手法を用いることで、2次元のエネルギー損失スペクトルを測定することを可能にした。
加えて、スペクトルには、Liによる信号が含まれているため、名古屋大学が有する高度画像解析技術(多変量解析技術)を用いることで、微弱なLiの信号をナノメートルスケールで明瞭に捉えることにも成功している。
その例が下の図だ。
左側の(a)~(d) は、固体電解質/LiCoO2正極/Au集電体近傍の断面STEM像。それぞれ、0%充電(充電前)、50%充電、100%充電、33%放電時のSTEM像を示す。
右側の(e)~(h) は、EELSと高度画像解析を用いてマッピングされた同一箇所のLi分布。固体電解質との界面近傍で、イオン濃度が低いことがわかる。
また、充電が進むにつれて、LiCoO2正極からLiイオンが脱離し、濃度が低下していることも判明。
放電時には、Liイオンが戻ってくるため、Au集電体に近いところからイオン濃度が高くなっていることがわかる。