パナソニック傘下のパナソニックエナジーは2月9日、集中戦略を展開する北米でのサプライチェーン強靭化および電池材料生産時の環境負荷低減を目的に、オーストラリアの「ノボニックス社(Novonix )」と、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の主要負極材料である人造黒鉛の長期供給契約を締結した。
なお、この人造黒鉛は、2025年よりノボニックスの米国テネシー州の工場から同社米国工場向けに供給される予定。
パナソニックエナジーでは、車載用リチウムイオン電池のカーボンフットプリント(CFP)を、2030年度に21年度比で50%低減させることを目標に掲げているものの、その大半は資源採掘や原料加工、物流等に於いて発生する。
従って全工場をカーボンニュートラル化し電池製造時に発生するCFPを削減するだけでは十分ではない。そこでサプライチェーン川上に於ける環境負荷低減を重要な経営課題と定め積極的に取り組んでいる。
なお、そんなリチウムイオン電池の負極材料としての黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛がある。
人造黒鉛は充放電を繰り返しても電池の耐久性を高く維持できることから、アチソン炉と呼ぶ高温炉で1サイクルあたり約30日間もの期間を掛けて約3,000℃の高温処理により生産される。しかし同工程は、エネルギーコストおよびCO2排出量の多さなどの課題がある。
そうしたなかで、ノボニックス社が開発した連続黒鉛化炉技術は、1サイクルあたり約3日の短期間で高効率生産を実現でき、従来のアチソン炉に比べて、人造黒鉛生産時のCO2排出量を低減できる。
これらを勘案しパナソニックエナジーは、このノボニックス社の北米現地企業から4年間で10,000tの人造黒鉛を調達する長期供給契約を締結。CFP半減目標に向けた歩みを一歩前進させていく構え。
この結果、パナソニックエナジーは世界第二位を誇る新車販売市場の米国を含む北米市場に於いて、今後もリチウムイオン電池業界の成長を牽引し、ゼロエミッション実現に向けた取り組みを加速していくとしている。