パナソニックエナジー( PEC )は2月27日、北米地域でのEV用リチウムイオン電池の生産拡大を視野に、独H&T Rechargeと、電池外装缶の長期供給契約を締結した。
H&Tは、現在でもPECの米国ネバダ工場へ、リチウムイオン電池向けの外装缶を供給する主要パートナーであるのだが、今回の長期供給契約により、来たる2024年度に稼働予定のカンザス工場へも同様に電池外装缶の供給を開始する。当該契約は、その生産量拡大を視野とした長期供給契約となる。
世界規模でEVシフトが進む中、PECも需要拡大の期待に応えるべく、生産量自体の拡大に併せて、EVの航続距離向上に寄与する技術開発にも取り組んでいる。
それと同時に、車載電池はEV搭載用にモジュール化された際、隣接セルを巻き込んだ類焼を抑制することが安全性を高める上で重要であることから、外装缶を含めて電池全体に最適な部材を用い、セルの破裂や発火などを制御する独自設計と開発努力が欠かせない。
そうしたなかH&Tは、製缶の金属プレス技術や金型の設計・製造技術で高い能力を有しており、高水準のプレス加工技術と大量生産の両方を可能とする企業としては、北米に於いては唯一の存在だ。
またH&Tは、主要工程を全自動で処理可能な生産ラインを設計して、リチウムイオン電池製品の安定性・安全・効率性を実現。
加えて既に2017年から約5年間に亘って、ネバダ工場向けに年間40GWh弱相当の外装缶を供給してきた実績がある。そこで年間約30GWhを生産予定のカンザス工場への供給分に関しても、更に生産性と品質を高められる最新鋭の生産ラインを導入することになった。
PECは、重点地域である北米での車載電池の生産拡大に向け、材料確保の安定性の観点からも、材料の現地調達比率の向上を推進しており、また現地調達は物流によるカーボンフットプリントの低減、輸送費等のコスト削減にも寄与するため、今後もH&Tの協力を得て、北米での戦略的なサプライチェーンの構築を強化してく構えだ。