パナソニックエナジー( PEC )は4月11日、車載用リチウムイオン電池の生産競争力の強化を目的として、住之江工場(大阪市)の敷地内に建設を進めてきた〝住之江生産プロセス開発棟〟が竣工したため、同日、その竣工式を実施したことを発表した。
電気自動車(EV)の普及に向けて、電池の性能向上や技術革新、またグローバルでの生産能力の向上に取り組んできたパナソニックエナジーでは、この程、次世代モノづくり開発を担う生産プロセス技術のコア拠点として、住之江工場内に生産プロセス開発棟を新設。この新棟では、モノづくりの競争力を高め続けるために必要な生産技術の開発や、大型検証機を用いた実証実験の推進による検証期間の短縮、生産技術リソース拡充への対応を行っていくと云う。
<住之江生産プロセス開発棟の概要>
– 所在地:大阪府大阪市住之江区平林北1丁目2-63
– 目的:生産プロセス技術の開発
– 工法・階数:鉄骨造、4階建て
– 延床面積:7,900平方メートル
– 設備:
・1階:大型量産設備検証エリア、次世代プロセス技術開発エリア(極板)。
・2階:次世代プロセス技術 開発エリア(極板)。
・3階:次世代プロセス技術 開発エリア(組立)。
・3階/4階:事務所。
これまでにない変化へ果敢にチャレンジする想いを込めて〝イノベーティブを創出するシンボリックなデザイン〟を採用したという新棟は、鉄骨造4階建ての延床面積約7,900㎡。
1階から3階にある実験エリアには、次世代プロセスの量産化技術開発や工場向け大型量産設備の事前検証エリアを備え、3階と4階のオフィスフロアと合わせて、生産技術人財が約400人が勤務予定。来年4月に大阪・西門真地区で竣工予定のセル開発の研究開発棟(以下、西門真研究開発棟)と合せると約1,100人の人財が電池関連の研究開発に従事し、国内最大規模の電池の研究開発体制となる見込みであると云う。
また、DX開発拠点としての役割も担い、同社傘下全工場の電池をデータマネジメントする「データ解析プラットフォーム」や、工場レイアウトを検討する際の「搬送シミュレーション」などの情報を集約し、デジタル化を推進。加えて、GX(※1)開発拠点として巻き取り技術や溶接技術開発による高効率設備の実装や、乾式の新塗工技術を用いたエネルギー生産性の最適化検証を加速するほか、今後は西門真研究開発棟と連携した商品開発も推進していく予定だと云う。
なお、車載用リチウムイオン電池を生産する住之江工場では、環境と調和したモノづくりを目指し、太陽光パネルの設置やオフサイトコーポレートPPA(※2)など、再生可能エネルギーを最大限活用。今年1月には、再生可能エネルギーにより発電された電気の環境価値を証書化した非化石証書と燃料をオフセットするJクレジットを活用することで、CO2排出実質ゼロ工場を達成しており、今回の新棟の屋上にも太陽光パネルを設置している。
パナソニックエナジーは、優れた電池技術や豊富な知見を活用してモノづくり力を高め続けることで、ミッションである「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現」に向けて、今後もリチウムイオン電池業界の成長に貢献していきたいとしている。
※1)GX:グリーントランスフォーメーション。温室効果ガスを発生させる化石燃料から太陽光発電などのクリーンエナジー中心へと転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組み。
※2)PPA:Power Purchase Agreement。企業・自治体が保有する施設の屋根や遊休地を発電事業者が借り、無償で太陽電池等、発電設備を設置。発電した電気を企業・自治体が使うスキーム。