パナソニックエナジー は7月25日、電気自動車(EV)用リチウムイオン(Li-ion)電池の更なる性能向上を目的に、英国の「ネクシオン (Nexeon/本社:オックスフォード州アビンドン市)」と、車載電池の負極に使用するシリコン材を調達するための売買契約を締結したと発表した。
なお、ネクシオンのシリコン負極材は、2025年からカンザス州デソトの新工場で製造されるLi-ion電池に使用される予定であるとのこと。
世界規模でEVシフトが進む中、パナソニックエナジーでは、その需要に対応するため、車載電池の生産拡大や、EVの航続距離向上に寄与する電池セルのエネルギー密度の向上に取り組んできた。
一般的に、Li-ion電池のエネルギー密度向上のためには、正極の容量アップと共に、負極の容量を引き上げる必要があるが、シリコン材は、現在負極材に広く使用されている黒鉛と比較して、理論値で約10倍もの高い容量を有することから、電池性能向上の鍵となる材料とも目されていると云う。
しかし、一方でシリコン材は、充電時に膨張・電池を劣化させる特性から、添加率を高める上での課題が。
従来からシリコン材を使いこなす技術開発を積極的に行い、業界で初めてシリコン材を使用した車載電池の量産化に成功するなど、Li-ion電池のエネルギー密度の進化で世界をリードをしてきパナソニックエナジーは、今回、ネクシオンが新規開発したより高容量かつ充電時の膨張を抑制することが可能なシリコン材を、業界に先がけて採用することで、更なる電池の高性能化を推進する。
また今後も、このようなシリコン材の負極への添加率増加を進め、同社が戦略で定める、体積当たりのエネルギー密度を現行比で2025年までに5%、2030年までに25%向上させるという目標の実現を目指すとしている。
<ネクシオン製シリコン材 の特徴>
・独自構造により、シリコン材の課題であった電池充電時の膨張性を抑制し、良好なサイクル特性を保ちながら負極の容量向上を実現。
・負極のみのポテンシャルとして、セルのエネルギー密度を大幅に向上させることが可能。
パナソニックエナジーは、優れた電池技術および豊富な知見により、今後もLi-ion電池業界の成長を牽引し、ミッションである「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現」に向け、ネクシオンとの強いパートナーシップの構築を図っていくとしている。