パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、ミリ波帯[1]アンテナ基板に適した「ハロゲンフリー超低伝送損失 基板材料」を開発、2019年4月より量産を開始する。
同社は、この「ハロゲンフリー超低伝送損失 基板材料」熱硬化性樹脂に関して、ミリ波帯における業界最高(※1)の低伝送損失[2]を実現し、アンテナの高効率化・低損失化と基板の加工コスト低減に貢献するとしている。
ADAS(先進運転支援システム)や自動運転の開発が進む中、それらを支えるセンシング技術としてミリ波レーダー[3]が用いられているが、このミリ波の送受信を行うアンテナ用基板には、低伝送損失が要求される。
しかし、現在アンテナ用基板材料として主に採用されているフッ素樹脂基板材料[4]は、樹脂の特性上、基板製造時の加工が難しく高価であるという課題があった。
今回、同社独自の樹脂設計技術および低粗化銅箔接着技術により開発された「ハロゲンフリー超低伝送損失基板材料」は、それら課題解決に貢献する優れた低伝送損失性と加工性の両立を実現したものだと云う。
また、同製品は、2018年1月17日 ~ 1月19日まで東京ビッグサイトで開催される第19回 プリント配線板 EXPOに出展される。
[ハロゲンフリー超低伝送損失 基板材料の特長]
1)伝送損失が低く、ミリ波帯アンテナの高効率化・低損失化に貢献
本開発品:伝送損失 0.079dB/mm(@79GHz)
同社従来品(※2):0.081dB/mm、汎用フッ素樹脂基板材料(※3):0.096dB/mm(同社実測値(※4))
2)基板製造時の加工性に優れ、加工コスト低減に貢献
3)汎用のガラスエポキシ基板材料との一括成型が可能で、アンテナ一体型モジュール基板の多層化に貢献
※1:2018年1月11日現在、ミリ波帯域で使用される熱硬化樹脂材料として最も低い伝送損失(同社調べ)
※2:同社従来品(超低伝送損失多層基板材料“MEGTRON7” R-5785)
※3:アンテナ用基板材料に用いられる汎用材料
※4:マイクロストリップライン構成にて測定
[用途]
ミリ波帯アンテナ用基板(車載ミリ波レーダーや無線通信基地局のアンテナ用基板など)、高速伝送基板
[用語説明]
[1] ミリ波帯
30~300GHzの周波数範囲を指す。
[2] 伝送損失
プリント基板上の配線(伝送線路)を通る信号が材質や距離などに応じて減衰する度合い。
単位はデジベル(dB/mm)。
[3] ミリ波レーダー
ミリ波帯電波を送信し、物体からの反射波を受信することにより、物体の位置・速度を検出するセンサ。車載ミリ波レーダーは主に76~81GHzが割り当てられており、衝突防止システムに代表されるADAS(運転者支援システム)を構築するセンサの1つとして自動車への搭載が加速している。
[4] フッ素樹脂基板材料
フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE、フッ化炭素樹脂とも呼称)を絶縁体としたプリント基板材料。フッ素樹脂は一般的なプリント基板材料に用いられるエポキシ樹脂に比べてミリ波帯での比誘電率、誘電正接が小さい。
[問い合わせ先] オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 電子材料事業部:
https://industrial.panasonic.com/jp/products/electronic-materials/circuit-board-materials/low-loss/llossr5515?ad=press20180111
第19回 プリント配線板 EXPO:http://www.pwb.jp/