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2023年9月13日【ソフトウェア】

パナソニック、AI搭載サーボシステムを業界初で商品化

NEXT MOBILITY編集部

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パナソニック・ロゴパナソニックグループでデバイス領域の事業を手掛けるパナソニックインダストリー は9月13日、業界初(自社調べ)となるAI搭載サーボシステムの「MINAS A7 Family (ミナスA7ファミリー)」を製品化。来年1月から国内販売を開始し、順次グローバル展開すると発表した。

 

同製品では、業界最高(自社調べ)のモーション性能(応答性や位置決め精度に係る性能)を実現。熟練者を超える緻密な調整をAIが自動で行なうと云う。

 

サーボモータの自動調整技術が進化する一方、半導体製造装置や電子部品実装機などの超精密な位置決め性能が求められる装置に対しては、従来の自動調整では満足した結果を得ることができず、いまだ熟練者と呼ばれるエンジニアの高度な手動調整技術が必要とされていると云う。

 

ミナスA7ファミリーは、この熟練者による緻密な調整作業を、AI技術を活用することで自動化。位置決め性能の指標となる位置決め整定時間(位置決め指令完了から要求精度の位置に到着するまでの時間)を、対熟練者比で45%(同社測定)、また調整にかかる作業時間を90%以上(同社測定)削減。

 

また、サーボシステムの基本性能である速度応答周波数(モータが与えられた速度指令にどれくらい迅速に応答できるかを示す指標)は、同社従来比1.25倍で業界最高の4.0 kHz以上(いずれも自社調べ)、エンコーダ分解能(モータ1回転あたりのパルス数)に於いても業界最高(自社調べ)の27bit(1億3421万7728パルス/回転)を実現したと云う。

 

パナソニックインダストリーは、顧客の装置性能の向上や熟練者に依存しない生産現場の実現に寄与すると共に、装置で製造される製品の品質不良による廃棄ロスの削減や装置タクトタイム(製品を製造に必要な目安時間)の短縮など、製造現場での環境負荷の低減に貢献するとしている。

 

ミナスA7ファミリーについて

1.主な特長

1-1)AI搭載サーボシステムで緻密な自動調整を実現。作業時間を90%削減

独自AI技術を活用した新機能「precAIse TUNING(プリサイズ・チューニング)」により、従来の自動調整機能では満足した結果が得られず、熟練者が時間を掛けて手動調整していた領域まで自動化。匠を超える緻密な自動調整を実現する。

 

 

半導体製造装置や電子部品実装機など、超精密な位置決め精度が求められる装置に対しては、装置の特性ごとに膨大なパラメータを緻密に擦り合わせる調整技術が必要で、熟練者と呼ばれるエンジニアの高度な知識や感覚、技術を要するだけでなく、その熟練者でさえ要求性能を実現するために数日から1週間ほどの調整期間を要する場合もある。

 

「precAIse TUNING」(AIによる自動調整)では、位置決め性能の指標となる位置決め整定時間を対熟練者比で45%、また調整に要する人の作業時間を90%以上削減することができる。

 

<熟練者による調整 vs AIによる自動調整の比較>

AIを搭載することで人の調整時間を90%削減。 AIを搭載することで人の調整時間を90%削減。

AIを搭載することで位置決め整定時間を45%削減。 AIを搭載することで位置決め整定時間を45%削減。

 

1-2)業界最高のモーション性能を実現

業界最高の27bit(1億3421万7728パルス/回転)を実現したサーボモータのエンコーダ分解能と、同社従来比1.25倍で業界最高4.0kHz以上に達する速度応答周波数(サーボアンプの制御性能を示す指標)で、装置における位置決め精度および加工精度の向上に貢献。

 

また、最高回転速度7,150r/minを実現したサーボモータにより、装置の動作速度を向上させ、タクトタイムの短縮に寄与する。

 

1-3)用途最適サーボアンプにより高精度制御を簡単に実現

通常、サーボモータの制御には、PLC等のコントローラ内に複雑な制御プログラムが必要になるが、同製品の「センサ直結フィードバック(変位制御)」タイプのサーボアンプでは、コントローラを介さずに、サーボアンプ自らセンシングデータを直接取り込むことで、センサの入力からサーボへの出力までのシステム応答性を向上。

 

コントローラに対して複雑な制御プログラムが不要となることで、高速・高精度な制御を簡単に導入することを可能に。プログラム開発工数の削減に貢献する。

 

また今後は、高精度ガントリ制御タイプやセンサ直結フィードバック(圧力制御)タイプなどの用途最適サーボアンプも順次拡大していく予定。

 

 

2.主な用途

半導体製造装置、電子部品実装機、工作機械、産業用ロボットなど。

 

 

3.生産拠点

グローバル生産体制強化を目的に、サーボシステム生産拠点である中国広東省の珠海工場に加え、日本国内の竜野工場(兵庫県)でも生産。

 

<基本仕様>

– 電源:単相AC100V 単相・三相AC200V(三相AC400Vの展開も予定)
– モータ定格出力:200W 400W(拡大予定)
– 制御指令方式

・EtherCAT通信(シリーズ名:A7Bシリーズ)
・RTEX通信(シリーズ名:A7Nシリーズ)
(アナログ/パルス列/Modbus通信の対応シリーズも展開予定)

– 用途最適サーボアンプ:センサ直結フィードバック(変位制御)

(高精度ガントリ制御タイプやセンサ直結フィードバック(圧力制御)タイプ等も予定)

 

問い合わせ先

(パナソニックインダストリー)「ACサーボモータ・アンプ MINAS A7 Family」に関するお問い合わせ

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。