パナソニックグループでデバイス領域の事業を手掛けるパナソニックインダストリー は9月13日、業界初(自社調べ)となるAI搭載サーボシステムの「MINAS A7 Family (ミナスA7ファミリー)」を製品化。来年1月から国内販売を開始し、順次グローバル展開すると発表した。
同製品では、業界最高(自社調べ)のモーション性能(応答性や位置決め精度に係る性能)を実現。熟練者を超える緻密な調整をAIが自動で行なうと云う。
サーボモータの自動調整技術が進化する一方、半導体製造装置や電子部品実装機などの超精密な位置決め性能が求められる装置に対しては、従来の自動調整では満足した結果を得ることができず、いまだ熟練者と呼ばれるエンジニアの高度な手動調整技術が必要とされていると云う。
ミナスA7ファミリーは、この熟練者による緻密な調整作業を、AI技術を活用することで自動化。位置決め性能の指標となる位置決め整定時間(位置決め指令完了から要求精度の位置に到着するまでの時間)を、対熟練者比で45%(同社測定)、また調整にかかる作業時間を90%以上(同社測定)削減。
また、サーボシステムの基本性能である速度応答周波数(モータが与えられた速度指令にどれくらい迅速に応答できるかを示す指標)は、同社従来比1.25倍で業界最高の4.0 kHz以上(いずれも自社調べ)、エンコーダ分解能(モータ1回転あたりのパルス数)に於いても業界最高(自社調べ)の27bit(1億3421万7728パルス/回転)を実現したと云う。
パナソニックインダストリーは、顧客の装置性能の向上や熟練者に依存しない生産現場の実現に寄与すると共に、装置で製造される製品の品質不良による廃棄ロスの削減や装置タクトタイム(製品を製造に必要な目安時間)の短縮など、製造現場での環境負荷の低減に貢献するとしている。
ミナスA7ファミリーについて
1.主な特長
1-1)AI搭載サーボシステムで緻密な自動調整を実現。作業時間を90%削減
独自AI技術を活用した新機能「precAIse TUNING(プリサイズ・チューニング)」により、従来の自動調整機能では満足した結果が得られず、熟練者が時間を掛けて手動調整していた領域まで自動化。匠を超える緻密な自動調整を実現する。
半導体製造装置や電子部品実装機など、超精密な位置決め精度が求められる装置に対しては、装置の特性ごとに膨大なパラメータを緻密に擦り合わせる調整技術が必要で、熟練者と呼ばれるエンジニアの高度な知識や感覚、技術を要するだけでなく、その熟練者でさえ要求性能を実現するために数日から1週間ほどの調整期間を要する場合もある。
「precAIse TUNING」(AIによる自動調整)では、位置決め性能の指標となる位置決め整定時間を対熟練者比で45%、また調整に要する人の作業時間を90%以上削減することができる。
<熟練者による調整 vs AIによる自動調整の比較>
AIを搭載することで人の調整時間を90%削減。
AIを搭載することで位置決め整定時間を45%削減。
1-2)業界最高のモーション性能を実現
業界最高の27bit(1億3421万7728パルス/回転)を実現したサーボモータのエンコーダ分解能と、同社従来比1.25倍で業界最高4.0kHz以上に達する速度応答周波数(サーボアンプの制御性能を示す指標)で、装置における位置決め精度および加工精度の向上に貢献。
また、最高回転速度7,150r/minを実現したサーボモータにより、装置の動作速度を向上させ、タクトタイムの短縮に寄与する。
1-3)用途最適サーボアンプにより高精度制御を簡単に実現
通常、サーボモータの制御には、PLC等のコントローラ内に複雑な制御プログラムが必要になるが、同製品の「センサ直結フィードバック(変位制御)」タイプのサーボアンプでは、コントローラを介さずに、サーボアンプ自らセンシングデータを直接取り込むことで、センサの入力からサーボへの出力までのシステム応答性を向上。
コントローラに対して複雑な制御プログラムが不要となることで、高速・高精度な制御を簡単に導入することを可能に。プログラム開発工数の削減に貢献する。
また今後は、高精度ガントリ制御タイプやセンサ直結フィードバック(圧力制御)タイプなどの用途最適サーボアンプも順次拡大していく予定。
2.主な用途
半導体製造装置、電子部品実装機、工作機械、産業用ロボットなど。
3.生産拠点
グローバル生産体制強化を目的に、サーボシステム生産拠点である中国広東省の珠海工場に加え、日本国内の竜野工場(兵庫県)でも生産。
<基本仕様>
– 電源:単相AC100V 単相・三相AC200V(三相AC400Vの展開も予定)
– モータ定格出力:200W 400W(拡大予定)
– 制御指令方式
・EtherCAT通信(シリーズ名:A7Bシリーズ)
・RTEX通信(シリーズ名:A7Nシリーズ)
(アナログ/パルス列/Modbus通信の対応シリーズも展開予定)
– 用途最適サーボアンプ:センサ直結フィードバック(変位制御)
(高精度ガントリ制御タイプやセンサ直結フィードバック(圧力制御)タイプ等も予定)
問い合わせ先
(パナソニックインダストリー)「ACサーボモータ・アンプ MINAS A7 Family」に関するお問い合わせ