オムロンは、シリーズ最大の1.5tまで自動搬送できる「モバイルロボットHD-1500」を、7月22日から世界で一斉発売する。
また、「高精度位置決めシステム」の精度を向上するとともに、可搬重量の異なるオムロン製の搬送ロボットを最大100台まで1つのシステムで連携させ、最適な配車や渋滞レスな自動搬送を実現した。
「HD/LDシリーズ」は、事前に走行ルートを定める磁気テープの設置が不要で、人や障害物を自動で回避しながら最適なルートを自ら考え、決められた場所に部品や製品を搬送するモバイルロボット。
今回発売される「HD-1500」は、可搬重量が世界最重量級の1.5tまで対応し、従来フォークリフトなどで搬送していたシャシーのような大型の自動車部品や体積の大きいパレット搭載物といった重量物の搬送も可能。既存の「LDシリーズ(*2)」と合わせて使用することで、材料から部品、仕掛品、完成品に至るまで様々な領域のシームレスな搬送を自動化することができる。
HD-1500の発売に際して、オムロンのインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー ロボット推進プロジェクト本部長の山西基裕氏は、以下のように話している。
「オムロンは、独自のコンセプト”i-Automation!”を掲げ、製造現場の革新に取り組んでいます。その一環として2015年に、米国に拠点を置くロボット会社のAdept社を買収して以来、そのロボット技術によってお客様の生産現場において高度で柔軟な自動化が実現できるように、より多くのリソースを投入してきました。
従来からの人手不足に加え、新型コロナウイルスに対するリスク対策として世界中の産業分野でモバイルロボットによる搬送作業の自動化が加速する中、今回の新商品HD-1500はこの取り組みをさらに前進させるカギとなり、お客様に対して、安全に重量物を搬送するための選択肢を提供できるようになりました」。
また、オムロンのグループ会社で、ロボットとセーフティーソリューションのリーダーであるOMRON Robotics and Safety Technologies(以下ORT)の社長兼CEOのTom Mathias氏は、以下のように話している。
「工場・倉庫内の製品や材料の移動は頻度が高く、人にとって負担が大きく、人件費の上昇とソーシャルディスタンスの確保もあいまって、多くの企業にとって課題となっています。
回転の速い生産現場はスピードと柔軟性が不可欠です。オムロンのHD-1500は1日24時間、時間通り、人と同じ環境内で安全に働くことができ、密集、密接回避という企業が抱えている課題の解決を支援します」。
オムロンは、今後も製造現場の需要に対応し、ロボット製品群の拡張を加速し、モノを移動させるという単純・単調で重労働な作業から人を解放し、より創造的な分野での仕事にシフトさせていくことで、社会的課題の解決に貢献し続けていきたいとしている。
[HD-1500の主な特長]
1.高い可搬重量と堅牢構造
頑丈なメタルカバーを用いた堅牢構造。センサー類の保護構造設計により、要求の厳しい作業にも対応。
2.高度な混合フリート
オムロンの「フリートマネージャー」の使用で、「HD-1500」を含め、異なる可搬重量タイプのモバイルロボットシリーズの最大100台のフリート管理が可能。互換性を維持しながら、同一システムで交通整理、バッテリ管理、ルート管理が最適化できる。
3.投資収益率(ROI)を向上
最終製品を載せた大型パレットやかさばる重量物の安全な自動搬送を実現。フォークリフトの使用を減らして経費を削減する。また1回の搬送量の増加により、最小限の機器でのより多くの作業を可能にしてROIを向上すると共に、作業者のより創造的な仕事へのシフトに寄与。
4.高い効率性と安全性
39分間でフル充電可能なため、効率向上とダウンタイムを縮小。セーフティレーザスキャナーで全周360度をリアルタイムにモニタリングしているため、進む向きと速度に応じて、自律的に緊急停止適用ゾーンを切り替えることで、スムーズな動作と、高い安全性を確保。緊急停止適用ゾーンはオムロン製モバイルロボットの共通ツール「モバイルプランナー」上でも確認できることから、視覚的な安全確認が可能。
*1:2020年7月時点 (自律型搬送ロボットカタログ値比較/オムロン調べ)
*2:オムロンの搬送ロボットのラインナップは、可搬重量60㎏の「LD-60」、可搬重量90㎏の「LD-90」、可搬重量250㎏の「LD-250」。
[ORTについて]
オムロンは2015年10月、製造業向けの自動化ソリューションを提供するインダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業、IAB)の一貫として、米国の産業用ロボットのリーディングカンパニーだったAdept Technologyを買収。
ORTは、オートメーションとセーフティの包括的なソリューションを提供するため、オムロンのセーフティ事業とロボティクス事業が合併し、2019年に設立。人とロボットが安全に協調して働くことのできる新しい生産現場の実現に貢献することを目的としている。
[問い合わせ先]
OMRON Robotics and Safety Technologies
メール: ORT-Marketing@omron.com