沖電気工業(OKI)は2月4日、中期経営計画2022に掲げた「モノづくり基盤強化」の一環として、埼玉県本庄市に新たな工場を建設すると発表した。
新工場は、脱炭素社会の実現に向けて、生産施設として日本初となるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB/注1)を目指す。また、免震構造と木製直交集成板(CLT)を採用した地震に強いビルとして、国土交通省の令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型/注2)にも採択。主にシステムソリューション事業関連製品の製造工場として、2022年4月の稼働を予定。投資額は約60億円を見込んでいる。
OKIは、1962年に埼玉県本庄市に電話機の製造工場を設立して以来、基幹工場のひとつとして、長年にわたり同地区で情報通信関連事業やEMS事業に関わる生産活動を行ってきた。2020年12月には、ローカル5Gの実験試験局を開設して製造現場や敷地内のITSテストコースにおける実証実験を行うなど、提供するManufacturing DX(注3)の活用により、ニーズの変化・技術の進化に応え続けられるフレキシブルなスマート工場の実現に向けた取り組みを推進している。
そこで今回、老朽化が進む施設・設備の更改を実施するにあたり、この取り組みをさらに進め、環境負荷の低減や働く人の安全、そして地元の地域材(秩父杉)の利用など地域との共存に配慮した新たな工場を建設することとした。
OKIは、今回の新工場をManufacturing DXを実現するスマート工場のモデルと位置づけ、この取り組みをグループ内に展開し、製品をグループ内の最適な工場で生産する「バーチャルOne Factory/注4」の実現など、「モノづくり基盤強化」に向けた諸施策を推進していくとしている。
[新工場概要]
– 名称:OKI本庄工場 7期棟(仮称)
– 建設予定地:OKI本庄地区(埼玉県本庄市小島南)
– 延床面積:約1万9千㎡
– 階数:地上2階建て 全面免震構造の鉄骨造
– 投資額:約60億円
– 着工時期:2021年5月
– 竣工時期:2022年3月
注1)ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB):快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物。
注2)サステナブル建築物等先導事業(木造先導型):先導的な技術の普及啓発に寄与する建築物のリーディングプロジェクトとして国が採択し、その建設費を支援する事業。「木造先導型」は、再生産可能な循環資源である木材を大量に使用する木造建築物等の先導的な整備事例について、構造・防火および生産システムの面で先導的な設計・施工技術の普及と低炭素社会の実現に貢献することを目的にしている。
注3)Manufacturing DX(マニュファクチャリング・デジタルトランスフォーメーション):製造現場を見える化する「現場変革」、現場と経営を高度かつ双方向に連携する「IT・オペレーション変革」、環境変化・法令対応・少量付加価値生産などのさまざまな経営判断を支援する「マネジメント変革」の3つの変革から構成される、スマート工場実現をめざしたOKIのソリューションコンセプト。
注4)バーチャルOne Factory「中期経営計画2022」における「モノづくり基盤強化」の主要施策。事業・開発部門に生産部門・工場が紐づけされた従来の枠組みではなく、製品の特性(試作品・量産品・少ロット製品・大型システム製品など)と各工場の得意な生産をマッチングさせ、グループ内の最適な工場でモノづくりができる体制の構築を目指す。
■沖電気工業:https://www.oki.com/jp/