沖電気工業(OKI)は10月28日、グループでDMS(設計・生産受託サービス)事業を展開する「沖電気コミュニケーションシステムズ(以下、OCM)」と「長野沖電気(以下、NOK)」を経営統合し、来年4月1日に新会社を設立する。なお、今回の統合では、OCMを存続会社としNOKを吸収合併する。
OKIは、高度な設計・生産技術と品質保証力を活かしたハイエンド型EMS(生産受託サービス)・DMS事業を成長分野の1つとして位置付けており、特に今後の成長の柱として、DMS事業の強化を進めている。
OCMでは、強みの無線・電源の設計・生産技術を活かし、主に社会インフラ分野を対象に高品質・高信頼な電力制御装置、交通制御装置、放送送信装置などのEMS・DMS事業を展開。一方のNOKは、CPUボード(注1)・通信ボード(注2)の設計・生産技術を持ち、半導体検査装置・産業機器などのEMS・DMS事業を得意分野としている。
今回OKIは、これら2社を統合し、営業・技術リソースの融合、ロボット・AIによる生産高度化への投資の効率化、そして各生産拠点の強みを活かした生産を最適化し、事業基盤強化と事業規模を拡大。設計リソースの有効活用により、より幅広い技術分野をカバーするとともに、受託した設計開発の期間短縮を実現し、上流の設計段階から装置生産まで一貫で受託するDMS事業のさらなる拡大を目指す。
またDMS事業の成長には、設計および生産体制の強化が必要であるとし、新会社をDMS事業の中核会社として、既存領域を強化すると共に、流通・物流など新規分野へ参入を目指す。
OKIは、新会社を通じて、CPUボードから電源・通信までの幅広い技術に対応し、より多くの顧客ニーズに応えるとともに、短期間での製品開発・量産開始をサポート。また、埼玉・長野の2ヶ所に生産拠点を有することを活かして、QCDの要望にきめ細かく応えるとともに、最適な生産体制を構築していくとしている。
[新会社概要]
– 設立:2021年4月1日(予定)
– 商号:未定
– 所在地:未定
– 代表者:未定
– 主な事業内容:電子装置および電子部品の開発、設計、製造
– 資本金:4.0億円(沖電気工業株式会社100%)
– 従業員数:278名(グループ連結:766名)
注1)CPUボード:マイクロコントローラ(Microcontroller Unit、MCU)と周辺デバイスを実装し、様々な機器を制御する基板。NOKは1994年よりIntel® CPUを使用したカスタムCPUボードの開発サービスを展開しており、ボードの開発およびEFI(BIOS)のカスタマイズ開発を行っている。
注2)通信ボードマイクロコントローラと通信専用デバイスを実装し、様々な機器と通信を行う基板。NOKは2010年4月よりEtherCAT Technology Group(ETG)日本地域委員会に参画し、国内のEtherCAT普及促進のために積極的に活動。実績あるリファレンス回路をベースに、顧客の要求に応じた基板を提供している。