沖電気工業(OKI)グループで、信頼性評価と環境保全の技術サービスを展開する沖エンジニアリング(以下、OEG)は、5月17日、EV・ADAS(先進運転支援システム)・自動運転向け車載電子機器・装置の信頼性試験サービスを大幅に強化した「eモビリティテストセンター」を、群馬県伊勢崎市(沖電線群馬工場内)に開設し、同日より稼働を開始すると発表した。
施設では、急速に進化する最先端の車載技術に対応する最新の試験技術・設備を導入。需要が急伸しているeモビリティ向け車載電子機器・装置の試験対応能力を大幅強化し、2022年度の自動車分野売上高、前年比15%増を目指す。
OEGは、成長と進化を続ける車載電子機器・装置向け信頼性試験サービス拠点として、2017年に「カーエレクトロニクス テストラボ(埼玉県本庄市)」、2019年には「群馬カーエレクトロニクス テストラボ(群馬県伊勢崎市)」を設立し、体制強化を進めてきた。
しかし、eモビリティの進展に伴い、モーター、インバーター、変速機(ギア)が一体となった“e-Axle(イーアクスル)”や、レーザー光で物体の形状や距離を測定するセンサーの“LiDAR(ライダー)”、“衝突防止用ミリ波レーダー”、“車載カメラ”など、自動車に搭載される試験対象製品が増加し、その大型化・高度化も進んでいる。
また車載電子機器・装置メーカーでは、従来の“ケイレツ(系列)”を超えた日欧米の自動車メーカーへの納入も増えてきていることから、求められる規格試験方法や条件もさらに多様化。
これらの多様で高度な試験要求に柔軟にワンストップで応えるため、OEGは、現在の「群馬カーエレクトロニクステストラボ」の床面積を2倍に拡張し、最新鋭で大型の専用試験装置と熟練した高度なスキルを持った専門家を投入することで、試験対応能力を1.4倍に進化させた「eモビリティテストセンター」を設立した。
新センターでは、“e-Axle”や“DC/DCコンバータ”のような大型・重量モジュールをはじめ、車載カメラやセンサーなどを対象とした、各自動車メーカー規格準拠の熱衝撃試験、塩水複合サイクル試験、減圧試験、ガス腐食試験を行うと共に、顧客に対し、受託した各試験によって発生するCO2排出量も開示すると云う。
OEGは、今後もeモビリティ向けの各種信頼性試験サービスメニュー追加を予定。新センターの稼働を通じて、車載電子機器・装置メーカーの製品開発期間の短縮、信頼性向上に貢献していくとしている。
[eモビリティテストセンター概要]
– 所在地:群馬県伊勢崎市境伊与久3344-1
(沖電線株式会社 群馬工場内)
– 面積:約717㎡
– 従業員数:5名(2022年5月7日現在)
– 主なサービス:車載機器信頼性環境試験
大型の車載電子機器ユニット・車載電子部品の環境試験(振動、高圧水、塵埃、赤外線、紫外線、オゾン、塩水、温湿度、気圧、ガスなど)への耐性を各メーカー規格試験で評価。
<主な試験設備の仕様>
・大型熱衝撃試験装置:
試験槽内寸:L:0.75m x W1.2m x H0.67m 槽内容量:600リットル
温度範囲:-50から150℃
・熱衝撃試験装置:
試験槽内寸:L:0.67m x W:0.65m x H:0.46m 槽内容量:200リットル
温度範囲:-70から200℃
主な対応規格:JIS C 60068-2-14、MIL-STD-883、MIL-STD-202
・熱衝撃試験装置 [液相]:
試験槽内寸:L:0.3m x W:0.175m x H:0.175m 槽内容量:9.1リットル
温度範囲:-65から150℃
主な対応規格:JIS C 60068-2-14、MIL-STD-883、MIL-STD-202
・大型熱衝撃試験装置:
試験槽内寸:L:0.65m x W:0.77m x H:0.61m 耐荷重量:100㎏
温度範囲:-80から220℃
主な対応規格:JIS C 60068-2-14、LV124 K05/16、MIL-STD-810G、Method503.5
・大型恒温恒湿槽装置:
試験槽内寸:L:0.8m x W:0.6m x H:0.85m 槽内容量:408リットル
温度範囲:-40から100℃
・大型恒温恒湿槽装置:
試験槽内寸:L:1m x W:1.1m x H:1m
温度範囲:-75から180℃
主な対応規格:IEC60068 2-1、2-2、2-3、2-14Nb、2-30、2-38、2-78、ISO16750-4 5.3、MIL-STD-883
・減圧試験装置:
山岳地帯、海外の高地都市などでの電子部品・装置利用環境をシミュレートした減圧環境下、低圧環境を模擬した試験装置。
・ガス試験装置:
腐食性ガス環境における電子部品・装置の耐久性を評価する試験装置。
・塩水噴霧試験装置:
塩分を含んだ大気環境における電子部品・装置の耐性を評価する試験。
[問い合わせ先]
OKIエンジニアリング システム評価事業部
・電話:0495-22-8140
・問合せフォーム:https://www.oki.com/cgi-bin/inquiryForm.cgi?p=k196
■(OKIエンジニアリング)信頼性評価試験、環境試験:https://www.oeg.co.jp/Rel/index.html