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2021年4月13日【CASE】

NVIDIAの最新ソリューション、自律走行車メーカーが続々採用

NEXT MOBILITY編集部

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NVIDIAは4月13日(米・サンタクララ現地時間4月12日)、最新のNVIDIA DRIVEソリューションを使って、AIを活用した次世代の自律走行車を生み出そうとしている大手輸送関連企業が増え続けており、Volvo、ZooxおよびSAICも新たに同社のソリューションを導入することになったと伝えた。

 

同ソリューションの次世代の自動車、トラック、ロボタクシー、および 新エネルギー車 (NEV) への採用が拡大しているのを受け、 NVIDIA DRIVEの自律走行関連企業からの受注高は今後6年間で80億ドル以上に達する見込みという。

NVIDIA・ロゴ

NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン フアン (Jensen Huang) 氏は、次のように述べている。

 

「輸送業界はテクノロジ業界になりつつあります。驚異的な自律走行テクノロジとAIテクノロジが搭載されるだけではなく、自動車は、ソフトウェア主導型のサービスを提供する、プログラマブルなプラットフォームとなり、輸送のビジネスモデルが再構築されるでしょう。数々の採用決定は、NVIDIAが世界最大級の、最も影響力のある業界の 1 つと連携し、モビリティの未来に革新をもたらしていることを表しています」

 

Volvo CarsとNVIDIAがコラボレーションを強化

 

Volvo Carsは、NVIDIA DRIVE Orinを搭載した次世代モデルを構築し、NVIDIAとの過去数年間の密接な協力関係をさらに強化すると発表した。DRIVE Orin テクノロジを活用した、最初の自動車となる、次世代の Volvo XC90は来年公開予定だ。

 

NVIDIA DRIVE Orin の高性能でエネルギー効率に優れた演算能力が、Volvo Carsと Zenseact (Volvo Carsの自律走行用ソフトウェア開発会社) によって社内開発されたソフトウェア、LiDARを含む先進のセンサー群、およびステアリングとブレーキのバックアップ システムと組み合わされることになる。その結果、Volvo Cars が生み出すインテリジェントな車両は、より安全で、よりパーソナライズされ、持続可能になるとしている。さらに 十分にプログラマブルかつ OTAでのソフトウェア アップデートを通じて永続的にアップグレード可能であり、Volvo Carsの次世代車両は日々改良されていくことになる。

 

ロボタクシーがDRIVEを搭載

 

全世界での移動距離は1年間に数兆マイルにのぼり、この距離がサービスとして提供される比率が増えている。これに貢献しているのが、NVIDIA DRIVEをベースにして開発を行うZooxやDiDiといったロボタクシー会社である。

 

・Zoox は先頃、都市部で日常的に走行することを想定した、専用のロボタクシーを発表。この車両は、NVIDIA DRIVEを活用しており、双方向性機能を備えた最初のロボタクシーの1つとなる。

 

・中国の大手MaaSプロバイダーであるDiDiも、自律走行テスト用車両すべてに NVIDIA DRIVEを採用すると発表した。これらのロボタクシー企業は、Pony.aiや Auto X といった、すでに NVIDIA DRIVEプラットフォーム上で開発を行っている企業のリストに加わることになる。

 

NEV革命を主導

 

NVIDIA DRIVE Orin を使ってソフトウェア デファインドの車両を開発し、早ければ2022年よりAI機能を継続的に更新する計画を発表している自動車のスタートアップ企業やEVブランドもここ数か月で増えている。

 

・中国最大の自動車メーカーであるSAICは、2つのEVブランドに先進のAI機能を搭載する準備を進めているという。次世代車両の R Autoファミリーでは、NVIDIA DRIVE Orinを活用し、自動運転のための認識、センサー フュージョンおよび予測をリアルタイムで行う、先進のR-Techインテリジェント アシスタントを搭載する予定。Alibaba とのジョイントベンチャーである、ウルトラプレミアム車のIMブランドでは、NVIDIA DRIVE Orinを搭載した長距離対応のEVを提供し、セダンとSUVでは自律駐車や他の自動運転機能が備わる予定だ。現在、セダンの受注はすでに開始しており、SUVの受注は2022年に開始される予定となっている。

 

・ 世界的なインテリジェントモビリティ企業であるFaraday Futureは、フラッグシップの超高級モデルである FF91EVにNVIDIA DRIVE Orinを搭載。2022 年の発売時には先進的な高速道路自律走行機能と駐車および出庫の機能が確立される予定という。それぞれ2023年と2024年に発売予定のFF71とFF81でも、NVIDIA DRIVE Orin が採用される見通しだ。

 

・ベトナムの大手自動車メーカーであるVinFastは、レベル2から3の自律機能を備えたインテリジェントEVのVF e34, VF e35および VF e36の大量生産開始を準備している。同社のプレミアムEVモデルでは、NVIDIA DRIVE Xavierから NVIDIA DRIVE Orinへとアップグレードする計画も立てられているとのこと。

 

・Nioは、4つのNVIDIA DRIVE Orin SoCを搭載した合計1,000TOPS の処理能力を持つ、Adamという名前のスーパーコンピューターを同社のET7セダンに装備し、先進の自動運転機能を提供すると発表した。ET7は、2022年に中国で出荷が開始される予定だ。

 

・Li Autoは、NVIDIA DRIVE Orinを使用した次世代のEVを開発しており、この車両を2022年に出荷予定。同社の新しいEVは、一次サプライヤーのDesay SVと共同開発されており、先進の自律走行機能と航続距離の延長を特徴としている。

 

・ Xpengは、先進の運転テクノロジを同社のP7セダンで、すでに実用化されている。昨月、同社はNVIDIA DRIVE Xavierを搭載したP7車両の車隊を使い、自動運転によって 6 日間で国を横断することに成功した。Xpengでは、2022 年に NVIDIA DRIVE Orinへのアップグレードを行う予定だ。

 

NVIDIA DRIVE を搭載したトラックが公道を走行

 

Eコマース商品への需要が高まっているなか、トラック業界は深刻なドライバー不足に苦しんでいるが、NVIDIA DRIVEプラットフォームは、ジオフェンスで区切られたエリアや公道、高速道路で走行できる、安全で、完全な自律走行可能なトラックの開発を実現するという。関連企業の動きは以下の通り。

 

・米Navistarは、TuSimpleと連携してNVIDIA DRIVEを活用し、レベル4までの自動運転が可能なトラックを新規に開発中。同社のトラックは、2024年までに生産が開始される予定だ。

 

・中国最大のトラック メーカーである FAWは、NVIDIA DRIVEプラットフォームを実装した自律走行トラックをPlusと共同開発している。このトラックは、今年後半に生産が開始される予定で、2022年には Orinへのアップグレードが行われる予定とのことだ。

 

・Volvo Groupの一員である Volvo Autonomous SolutionsもNVIDIAのエンドツーエンドのDRIVEプラットフォームを使って、自律輸送ソリューションと次世代のレベル4トラックを開発中だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。