ちなみにマスク氏は、自車の運転支援システムの改善を繰り返し、最終的に完全自動運転の実現を目指すとしているが、例え現段階の発表技術を今日から機能させたとしても確かに高度ではあるが、厳密には同社が自身で「オートパイロット」と呼ぶ搭載機能を一部レベル3に近づけた最先端の運転支援システムに過ぎない。
ただそれを今の段階で生産ラインでの機能拡充を行えば、すぐさま搭載可能(マスク氏よると実際には2年先に実現するとしている)としたところは、仮に話半分としても賞賛に値する。そのようなクルマ造りが可能と発言した自動車メーカーは、世界でも今はテスラ社しか存在しないからだ。
なお今後、車載コンピューターの高性能化は両社が述べるように、完全自動運転車実現にマストな課題だ。今後、世界最高峰の車載コンピューターが、そのうち相次いで登場してくることだろう。
ただその勝者である最新鋭システムは、より高度な演算能力を備えつつ、効率的な電力消費量も求められる。というのは幾ら高性能であったとても、搭載バッテリーの電力を浪費するものであってはならないからだ。
併せて可能であるなら、高い下位互換性も求めたい。今回のテスラ社による車載チップは、現段階でのマスク氏の発言を踏まえると下位互換であるとのことだが、いずれにしても可能な限りの高い互換性は、長期間に於いて使用される自動車という製品上とても大切なことである。
いずれにしても両社の車載コンピューターの勝者争いは、実に興味深い話題ではある。しかし昨今の無意味な交通事故が散発する今の自動車社会の状況を踏まえると、世界最高性能のシステムが本当に現実の車両に搭載される日がやってくるのを誰もが心待ちにしている。